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#454 04/11/04

ダン・ブラウン著『ダヴィンチ・コード』

アマゾンコムによればダン・ブラウンという作家が今年書いた『ダヴィンチ・コード』というフィクションがおお売れに売れているとのことである。フィックションはあまり好かぬ「老生」ではあるが、ダメモト精神で買ってみた。

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読んでみると、何とこれが意外や意外、大変なる作品である。普通は、ヘソが少し曲がった「老生」は、フィクションはフィクションに過ぎないと思い、例えば、ハリーポッター物などは決して買わないが、このフィクションは全く別物で、読んで得をした、と思う一冊であった。

本書を批評して、「老生」が割合好きなクライブ・カッスラーが『これまでに読んだミステリー小説の中で、プロットもその恐ろしさもベストの一つであり、謎解きと秘密に満ちた一流のストーリー』と評論しているほどである。

前述のように小説はあまり読まない「老生」ではあるが、本書は別である。恐らく過去5年間に読んだ小説の中ではベストであろう。本書を読んだ後で、どうも気になるのでP/Cでキーワードを色々変えてチェックしてみたら、何とあるはあるは、相当数の『本書の』解説本である。中でもサイモン・コックスという米国でかなり知られた『フェノミナ』という雑誌の編集長である人物が『ダヴィンチ・コードを読み解く』という単行本を今年出版しているという情報があったので、同書を早速注文してしまった。このコックス著の書物の紹介文のなかで、『ダヴィンチ・コード』は英国と米国だけですでに750万部売れたとあるではないか。

本書の筋は極めてうまく出来ている。のっけからルーブル美術館の高名な館長が、サイラスという名前の、シオン修道会に雇われた殺し屋に殺される場面から始まるのである。著者は本文のはじめに、場所や登場人物の名前を除く、芸術作品、建築物、文書、秘密儀式に関する記述はすべて事実に基づいていると断り書きをしている。

その断り書きは次のように言う。「シオン修道会は、1099年に設立されたヨーロッパの秘密結社であり、実在する組織である。1975年パリのフランス国会図書館が、秘密文書(ドシエ・スクレ)として知られている文書を発見し、この組織の会員多数の名前が判明した。そこにはサー・アイザック・ニュートン、ボッテイチェルリ、ヴィクトール・ユーゴー、レオナルド・ダヴィンチらの名前が含まれている。
ヴァチカンに認可された属人区であるオプス・デイは、極めて敬虔なカトリックの一派であるが、洗脳、強制的勧誘、『肉の苦行』と呼ばれる危険な修行を行っていると報道され、今では論争を起こしている。オプス・デイはニューヨークのレキシントン・アヴェニュー243番地に、4700万ドルの本部ビルを完成させたところである。

「老生」としては、本書は小説として面白いだけでなく、宗教への理解の補助、およびパリとスコットランドへの旅の案内書としてもスグレモノだと思う。次に英国とフランスに旅する機会があれば、本書を持参する積りである。「老生」に本書の冒頭の部分を少しだけ引用することを許されたく:

『ルーブル美術館の有名なる館長、76歳のジャック・ソニエールが、グランド・ギャラリーのアーチ通路をもつれる足で歩いていた。最も近い画にどうにか近づいた。それはカラヴァッジョだった。ソニエールは金箔の額を掴んで、この名画を力まかせに引っ張って壁から剥がした。そのまた倒れてキャンバスの下敷きになった』

これは、美術館長ソニエールがシオン修道会に雇われた殺し屋に殺される場面である。「老生」はシオン修道会の名前はどこかで読んだ記憶があったものの、シオン修道会という組織について正しい知識はなかった。本書で初めて知ったほどである。オプス・デイについては名前さえまるで知らなかった。

さて、宗教についてであるが、当然いまどきは信教の自由は世界の多くの国で認められている。しかし、「老生」は昔から何故か既成宗教は好まない。多分いかなる宗教も必ず断定的な物言いをするのが気に入らぬのだと思うが、本書を読んだ後の感想としてはやはり自分の直感は正しかったと思ったしだいである。これは西洋や中近東の既成宗教だけでなく、わが国の仏教も神道も同じである。胡散臭いものはやはり胡散臭いのである。


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