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#448 10/10/04

2004年10月10日エーゲ海にて

今日は10月10日である。目下ギリシャの小さな島サントリニ島でこの文章を書いている。同時にエーゲ海に真っ赤な太陽が沈むのを見ている。宿泊しているホテルは島の西北にあり、日没直前の今、真に多くの人々がどこからともなく近くに集まっている。この町の道路は極度に狭い。その多くはせいぜい2メートルの幅である。多くの人が歩く場合はまるで銀座である。その多くは観光客であり皆日の入りを眺めにきている。

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このホテルに滞在してからおよそ一週間になる。ギリシャに昔数多くの哲学者が輩出した理由が分かる気がする。ここから見えるのはエメラルドグリーンの地中海と火山性の急峻ながけ、そして紺碧の空だけである。これでは、多田野年頼といえども哲学者になりそうである。ここでは地球の自転が感じられ、またそれが目に見えるのである。このような環境では昨日みえた星が今日も同じ位置に見えるのは何故かと考えざるを得ないのである。何故なのか?風は今日も同じ方向から吹いてくる。何故なのか?帆走技術はどこかこの辺りで生まれたに違いないと納得させられる。

今日は10月10日である。私の部屋の前で結婚の祝宴が開かれた。私の部屋の入り口からおよそ2メートルのところである。シャンパンを配っているひとがいる。近くで見ていた私も思わず手を出した。するとその人は私にもグラスをくれた。そういう次第で集まった人々と言葉を交わすことになってしまった。カップルはニュージーランド人と分かった。また10月10日というのは、我々夫婦が結婚した日であることに気がついた。40年前のことである。

花嫁花婿はキーウィーである。花嫁は30歳、花婿は35歳とのこと。そこで私は花婿に言った、「貴殿の幸せは保証付きだよ、何故なら貴殿は40年前の私であり、貴殿は40年前の私なのです。これから40年後の私なのです。健康でハンサムなのです」そして二人は乾杯したのです。花嫁も花婿も40年後の自分たちを目にしてハッピーでした。花嫁は私にハグとキスをしてくれたのです。

勿論私も40年前を思い出して幸せな気分でした。二人、なかんずく花婿の方は40年後の自分を私の中に見たのでしょう。これは、私にとっても楽しい時間でした。タイムトラベルをしたような気分でした。

1964年10月10日は東京オリンピック開催日でした。我々の結婚式の当日、式の終了後、ワイフと私、それに数人の友人はホテルの庭に出ました。写真を撮ろうとしたのです。するとジェット機の轟音が聞こえたのです。空を見上げると紺碧の空に五つの輪が描かれていました。

結婚するまで、私は東京のある商社に勤めており、アフリカのアルジェリアに勤務していました。フィアンセと結婚式を挙げるため一時帰国していました。二人で式場探しをしました。最初の3つのホテルは満席でした。四つめのホテルは麻布プリンスホテルでした。受付の女性は、10月10日は空いていますという返事。で、そこに決めました。

こういう次第で五つの輪を、結婚当日に見ることができました。こういう次第でサントリーニ島でキーウィーの結婚式に立ち会うことになりました。そして、こういう次第でギリシャの目くるめく太陽の中で偉大なる哲学者に思いをはせることになったのです。

運命とは不思議なもので、またすばらしいことです。論理などは通用しません。キーウィー夫婦と私は2004年の10月10日にギリシャの小さな島でめぐり合う運命だったのでしょう。花婿と私はEメールアドレスを交換しました。もしかして彼がビジネスマンならお互いに協力し合えるでしょう。それが運命です。さて、この結果については、いずれ読者に報告します。


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