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#445 03/07/04

エタノール燃料のレーサーがルマン24時間耐久レースに参加

毎度お馴染みの英国の「ニューサイエンテイスト」誌(6月19日号)に極めて興味深い記事があった。「ナサマックス」というレーシング・チームがエタノールで走るレーサーでルマン24時間レースに参加し、28台の完走車のうち17位に入ったというニュースである。先ずはその記事を引用しよう。

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「先週末行われたルマン24時間耐久レースで一台の車が一際目立った。それはグリーンと黒のデザインのことではないし、車に貼られた本誌のロゴでもなかった。注目を集めたのは、『ナサマックス』というチームの車がレース歴史上初めてエタノールだけで完走したからであった。

「本誌としては、モタースポーツに関心があったからではなく、むしろ、本誌の創立者ジョン・マクニールが、リサイクル燃料について大衆の関心を高めてもらいたいとの希望に沿ったものであった。結果はアルコールで走る車の性能を見事にアピールすることとなった。

「98.5%のアルコールに少量の水、それにプラスして呑み助にも手が出ないようにする添加物を加えた燃料が使われた。石油燃料と較べた場合のアルコールの利点は明らかで、一酸化炭素の排出量は35%減、窒素酸化物は20%減、という地球環境の観点からである。更に重要な点は、このエタノールは植物から作られたものであり、植物は二酸化炭素を吸収するからである。他の燃料と較べての利点は明白である。

「実際にレースに参加するに当たり、設計変更は数多く行われた。植物由来のエタノールのエネルギーはガソリンの三分の二しかない。従って、車の燃料タンクはガソリン車より50%多い燃料を搭載すると同時に、燃料流量を高くする必要があったため、燃料配管システムも変更が必要であった。加えて、ピストンもシリンダーも改良する必要があった。

「さて、そのレース中のことであるが、この車は最高速度318キロを記録し、これは49台の参加車の中で二番目の記録を出した。しかし、物事は全て順風満帆とはいかないのが常で、出走45分後に電気系統のトラブルが発生し、加速性能の失速が発生する。技術者たちは髪を逆立てて奮闘するが、順位は、一時は最後から二番目まで落ちてしまう。しかし、その後回復して、完走車28台の中で17位を確保する。これは名誉ある順位と言うべきである。

「老生」も含めた環境保護主義者にとっても、これは良いニュースと言ってよいのではなかろうか?アルコール燃料というものは、決して新しいものでは全くない。1980年代のブラジルでは、生産される車の四分の三はアルコール燃料で走るものであった。1990年代になり、原油価格が下落すると、四分の三からゼロまで転落したという歴史がある。

アメリカ政府のエネルギー局のサイト(www.eere.energy.gov/cleancities)によれば、エタノールとガソリンの混合した燃料(E10と呼ばれるエタノール10%、ガソリン90%)で現在道路を走行している車は相当多い由。また更にエタノールが85%のE85と呼ばれる燃料も販売されている様子である。このようなエタノール対応自動車が増加しているので、エタノールの燃料としての将来は決して暗くはない。

実際に、E85を使える新車モデルも増加しつつあり、これらは、1992年の『エネルギー法』によって『代替燃料車』と位置づけされている。このようなE85だけで走る車、ガソリンその他との混合燃料で走る車は、FFVと呼ばれている。米国内ですでに販売されたFFVの数は300万台を超えている。種類も豊富で、セダン、ミニバン、ピックアップトラックなども増加中とのことである。

こういった環境問題に関心の深い車ユーザーへのサービスとして、米国では、特に中西部ではE85のサービス・ステーションも多い由。現在すでに全国に200以上の給油ステーションが存在し、それらステーションの存在する場所の地図もある様子。こういったことは米国における、いわゆるインフラの問題であるが、こういった傾向は今後も消費者のE85への関心を更に高めるべく加速すると思われる。

さてそこで、東京都知事の石原慎太郎氏は、こういった米国内の事実をご存知なのであろうか?ただただデイーゼルを足蹴にするだけなのであろうか?確かにデイーゼルの黒煙は「老生」も嫌いである。地方都市に住む「老生」は時折東京に日帰り出張をするが、帰宅時にはワイシャツの襟首はいつも黒くなっている。石原知事にこの文章をEメールすべきであろうか?


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