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#435 05/05/04

嫌な記憶を拭い去ることが可能になるか?

英国の科学雑誌「ニューサイエンテイスト」4月17日号によれば、近い将来にある種の薬品が開発されるという。その薬品とは、それを使えば、思い出したくもない嫌な記憶を拭い去ることができるという。

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老生」思うに誰でも嫌な記憶はあるだろう。できることなら永遠に忘れたいような記憶である。事実は、忘れたくても忘れられないのである。無論、「老生」とにも、そういう記憶はいくつもある。そして、そういう悪夢のような記憶に悩ませられることはしばしばある。上記の科学雑誌の18ペ−ジの記事を引用しよう:

「近い将来には記憶に手を加える薬品が開発され、医師の処方によって使われることになりそうである。この薬品は、例えば、麻薬中毒、恐怖症、外傷後ストレス障害などに使われることになろう。

「長期記憶は変えられないものと長い間考えられてきた。しかし、最近の研究によって、長期記憶も思い出すたびに記憶痕跡を書き換えることが可能になり、そうなのである。大きな議論の種になるであろうが、記憶痕跡を書き換えることができて、つまり記憶を操作する可能性がうまれたということになりそうである。

「今では、ケンブリッジ大学の心理学者のチームが記憶痕跡の書き換えは可能だと確認している。同チームは、少なくともネズミの場合は、過去の記憶の書き換えについてのメカニズムは、新しい記憶の形成とは、生化学的に異なっていることも確認している。

「この発見によって、誤った記憶を植えつけることが可能なことがわかる。しかし、同研究チームの一員であるジョナサン・リーの言では、より重要なことは、この原理で悪い記憶を消し、しかも他に何も悪影響を与えないことにある。同氏の考えでは、この薬品を患者に与えると、記憶痕跡を遮断するので、外傷後ストレス障害、恐怖症、麻薬患者の麻薬への渇望などの治療に使えるという。


さて、「老生」としては、このような薬剤が実際に開発されたとすると、夢のドラッグと呼んでもよいほどのインパクトはあろう。たとえば「老生」は喫煙者である。できることなら止めたいとは思っているが実際には止められない。

肺がんを含む癌は、特に高年者の場合には進行に時間がかかる。少なくとも10年はかかるであろう。今年69才の「老生」は、仮に今日肺癌と診断されたとしても、まだ80才近くまで生きられる可能性は高いであろう。だから止められないのだ。

狂牛病騒ぎのときにも、牛肉の値段がドラマテイックに低下した。そこでチャンスとばかりに食いまくった。BSEによる脳のスポンジ化も潜伏期間が長い。10年から20年と言われている。その年齢になれば、本当の死因が肺がんであろうとBSEであろうと、本人にとってはどうでもよいことになる。

という次第で、潜伏期間が長い病気には恐怖感はあまりない。とは言え、「老生」といえども忘れたい嫌な記憶はいくつか持っている。若かりしころ犯したいくつかの過ちのことである。あれやこれやと、時折思い起こしては忘れてしまいたいと思う。

ただし、過ちにも二種類があると思う。過ちから学習できたものと、ただただ忘れてしまいたいものの二つである。学習できた過ちを忘れる必要はない。このような脳内部の記憶メカニズムを操作するということは、もし悪用された場合には大きな問題を含むところがある。選択性があり、特定の記憶だけをピンポイントして消去することは本当に可能なのであろうか?考えにくいことではある。


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