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#420 03/02/04

シェリーン・ウスデイン著「エイズへの真面目なガイドブック」

例によってアマゾンコムで興味ある書物を発見した。タイトルは「エイズへの真面目なガイドブック」といい、著者はシェリーン・ウスデイン、発行は去年、英国はオックスフォードの「ニューインターナショナル」社からである。

エイズといえば、米国のNIAID(国立アレルギー及び伝染病研究所)のウエブサイトにある最新の統計を発見した。2003年末の数字では4,000万人の人が全世界にいるとの事(内3,700万が成人、2,500万が15才以下の子供)との事である。このNIAIDのウエブサイトはwww.niaid.nih.gov/factsheets.comeであるが、この統計では下記のようになる。

「2003年末時点の数字では全世界のエイズ感染者数は4,000万人。その三分の二(2,660万人)がサハラ以南のアフリカ諸国、18%がアジア・パシフィック地域に住む人々である。

「全世界ではおよそ成人(15才から49才まで)で1000人の内に11人がHIVあるいはエイズに感染している。サハラ以南のアフリカ諸国では、上記の年代の成人の8%が感染者。2003年だけをとっても世界で500万人の感染者が発生したと推定される。ということは、毎日14,000人発生という計算になる。そのうちの95%以上が発展途上国であり、また、その50%近くが女性である。

「2003年に発生した15才以下の感染者の数は一日に2,000人。15才から24才までが一日に6,000人である。同年だけで死者が三百万人(これには15才以下の子供が五十万人が含まれる)という。

まさに悲惨そのものではないか?中世の黒死病よりも悲惨か?また、この4千万という数は1918年のスペイン風邪による死者の数と一致する。疫学の歴史の上でも最悪の一つになろうか?この数の上での偶然の一致は何か不気味である。どうやら歴史は繰り返しているようである。

「老生」が若かりし頃こういうアフリカ諸国を頻繁に旅した当時は、1918年のスペイン風邪のことを知る人は多かったであろうが、HIVまたはエイズについては知る人はいなかった。「老生」も当然ながらそういった事実は全く知らずに旅をしていたのである。幸運にもこのウイルスは空気伝染もなく食い物による伝染もなかった。だから「老生」はこの拙文を書いている現在まで生きていられたわけである。

ここで、始めに書いた書物に戻ろう。その20ページに「歴史を作る競争」という題の一章があり、次のように言う:

「ヒト免不全ウイルス(HIV)が初めて発見されたのは1983年5月にフランスのパスツール研究所のリュー・モンタニエによってである。研究者たちは当時これをLAV(リンパ性ウイルス)と呼び、エイズの原因と疑われたが、翌年まではあまり注目を集めなかった。その「翌年」というのはフランスが正式にこの事実を発表した年である。

という次第でHIVが最初に発見された年は1983という事が明らかになった。また、マールブルグ・ウイルスによる最初の犠牲者の発生は、この「老生」が書いているページ(#127:1999年10月12日付け)の中で「エルゴン山のキタム洞穴とマールブルグ・ウイルス」という題で書いたように、1980年のことであった。その拙文のポイントは当時ケニヤに住んでいたチャールス・モネというフランス人が、そのエルゴン山のキタム洞穴にてキャンプをした直後にマールブルグ・ウイルスによる世界最初の犠牲者になった、ということで、場合によっては、この「老生」自身がモネに先立ってその犠牲者になり、世界の疫病の歴史に名を残した可能性があったという事実である。このモネという人物については、リチャード・プレストン著の「ホットゾーン」という書物に記載されている通りである。

このように、疫病、戦争、クーデターなどなど、などなど、などなどを潜り抜けて生き延びて現在に至った「老生」としては自分でも、その生き延びた事実を信じられないところである。まことに運に恵まれた「老生」である。

エイズ・ウイルスが単離されたときに「老生」は45才であり、エボラが出現して上記のモネが死んだとき、「老生」は48才であった。45才当時はセックスにはそれなりに関心があったし、エボラあるいはその弟分のマールブルグが現れたときは48才で、まだ健脚で山登りは好きであった。だが、幸いにして「老生」は、当時は若かりし現在の老妻に忠実で、浮気はしなかった。また、エボラのときはただメチャ多忙であったのである。

どちらのケースにせよ、「老生」はメチャ幸運であったのである。恐らく、現在に至るまで幸運の天使(天女か?)が見守ってくれていると自分では思っている次第である。幸せなり、幸せなり。


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