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#407 15/10/03

タラの資源回復予測が誤った楽観論の上に成り立っていた?

ニューサイエンテイスト誌(9月27日号)によればタラ資源の回復にかかる日数の計算が誤った楽観論に基づく計算であったとのこと。このヘームページにも何回か書いたように、多田野年頼は無類のタラ好き人間であるので、タラに係わる悪いニュースを先ずは読者にお知らせする次第である。記事は以下の通りである:

『カナダの大西洋岸のタラ漁が禁止されてから10年が経つが、一向に資源の回復のメドがたたない様子である。漁業専門家によれば、その理由は明白だということである。もしこれら専門家のいう事が正しいとすれば、ヨーロッパのタラ漁にかんする事情も同様であるとのことである。

『ニューファウンドランドのグランド・バンク及びその近海では一時は世界有数のタラ漁場であった。しかし、1980年代の乱獲によってタラ資源は衰退の一途を辿り、年間漁獲量は長期平均の数パーセントにまで低下した。1992年には、漁業資源が回復するまでという条件で禁漁になり、その禁漁期間は5年から10年と言われていた。

『タラは場所によっては期待した回復量の五分の一程度に下がったが、他の場所ではもっと低下した。「健全な漁業資源は生産性が考えたよりはるかに低く、これは計算の基となった数字が予測より遥かに低かったが、「健全な」と称する計算が甘かったからである」とカナダ水産局の科学技術アドバイザーであるジェーク・ライス氏は言う。このような甘い予測がカナダをして大甘な結果にもたらしたものである。

『問題の一つは、今週エストニアのタリーンで行われた海洋利用国際委員会の場で、成魚の漁獲量を稚魚の数で定められた。しかし、カナダの科学者たちによって漁業資源の減少が確認されたが、それは初めて産卵する若い成魚の産卵が思ったより少ないという事実に基づくものであった。

『こういった幼い成魚は他の捕食魚類に容易に捕食されやすく、禁漁の結果として3才から5才の成魚の死亡率は二倍以上に増加している。

『このダブルに襲い掛かる生産性の低下と捕食されるということは、すなわち、資源回復に5年かかるという前提が甘かったということである。しかし、カナダ政府は漁村に対する資金援助を5年間に定めており、5年間の禁漁期が終わったとき漁業者からの圧力が強まり、政府としても資源が回復していないことを承知の上で少ない資源から、あるいは場合によっては回復ゼロの場合でさえも、一定の漁獲を認めざるを得ない事情が発生している。

『この資金援助は本来が漁業者の他の職業への転向を計る為の再教育資金として提供されたものであるにも係わらず、実際にはGPSなどの電子機器を整備して漁船の改良などに使われて、例えば霧のなかでも操業できるとか、操業時間が延長されるなどに用いられることになってしまった。「漁船の数を20%削減したが、漁獲効率が反対に160%増加することになってしまった。資源の増加がわずかに増えたとしても、その増加分のほとんどを獲ってしまう」とライス氏は指摘している。今年も禁漁処置がとられるであろうとライス氏は言う。

『問題は、同様な事情がヨーロッパでも発生しつつあるということである。3年間の禁漁期間もアイルランド海では資源回復の役には立たなかったと、今週行われた会議で科学者が発言している。漁業者団体からの圧力も高まり、昔の状態に復帰するように求めている。というわけで、カナダの不吉な状態が心配される。

さて、「老生」は無類のタラ好き人間である。このサイトでもたびたびそのことは書いている。イギリスへの出張でフィシュアンドチップスを食うのは楽しみの一つであるが、厚みのあるタラステーキも悪くはない。カナダのタラ資源の減少を対岸の火事視しているうちにヨーロッパに飛び火しては、対岸どころかこちら側の火事になる。

英国に漁民に対する職業変更キャンペーンがあるならば、「老生」としてはそのキャンペーンに資金援助をも辞さない覚悟はある。仮に英国にそういったキャンペーンがあるとすれば、英国よりタラ漁業に熱心なポルトガルにもそういう計画があってもおかしくはない。その他のヨーロッパ諸国でもしかり。となるときりがない。

無論「老生」のポケットはあまり深くはない。全世界のタラ資源を守るために資金援助をしていては、タラ資源の減少の前に「老生」のポケットが干上がることは明白である。いかにすべきや賢明なる諸兄姉よ?


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