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#366 17/03/03

ガン細胞にも色々の種類がある?

いつも「老生」がこのサイトで引き合いに出す英国の週刊科学雑誌「ニューサイエンテイスト」誌の3月1日号が、その前の週の号(2月22日号)と同時に到着した。そういう次第で、この文章(#366)もこの前の文章(#365)に引き続いて同誌の記事から引用することになってしまった事を先ずはお許し願いたい。今日の話題は3月1日号16ページ記載のもので、ガン細胞に関わる話題である。

「医学界では永い間、新しい腫瘍を生み出すのは限られた数のガン細胞であるとされてきたが、今ではこれは確認された定説となっている。ところが、ここで紹介する新発見によって、より効果的なガン治療法開発に、新しい道が開かれることになりそうである。

「急性の白血病患者から採取したガン細胞の一部をマウスに注射するとガンになると発見されたのは1997年の事である。面白いことに、これらの細胞は、カナダのトロント大学のドミニク・ボネとジョン・デイックによって特定されたのであるが、後に成熟してから血液と免疫細胞になる骨髄の中に見られる幹細胞と類似したものであった。しかし、例えば乳ガンの場合に見られる腫瘍塊からは同様な細胞は発見されていなかった。

「ところが、今回、ミシガン大学医学部のマイケル・クラークとその同僚達が上記の細胞を初めて発見したのである。彼らは、9名の女性患者から採取した乳ガン組織の小片を、免疫力の低下した牝マウスの胸部に移植したのである。移植されたマウスは全て腫瘍が発生した。

「クラーク達研究者チームが行ったのは、腫瘍から採取した細胞の懸濁液を作り、それをマウスに注射したのである。その懸濁液には腫瘍から採取されたあらゆる種類の細胞が含まれていた。細胞の数にして5,000以上の注射をされたマウスには100%ガンが発生したが、1,000以下の場合のガン発生率は25%であったとの事である。

「という事は、サンプルの数が少ない場合には、ガンを発生させるに必要な細胞の数が不十分であるという事を意味する、とクラークは分析している。クラークのチームは、腫瘍を発現させる細胞に焦点を絞る目的で、細胞表面に各種の異なったタンパク質をくっつけた抗体を用いて、異なったタイプの細胞を作り、それをマウスに注射してみた。

「その結果としてクラークのチームが発見した事は、ガンを全く発生させないタイプの細胞の数が多いということであった。しかし、一方では、CD44とESAと呼ばれるタンパク質の表面に存在するタイプの細胞か、あるいはCD24というタンパク質が欠如したタイプの細胞が僅か200もあれば必ず腫瘍が発生するという事も判明した。『僅か200の細胞がガンを発生させるスピードは、特別に選んでいない細胞5000の場合と比較して遜色がない』とクラークは言う。このクラークの新発見は近々出版される『国立科学アカデミー』に掲載される予定である。

「このような珍種的な細胞によって発生する腫瘍には、新腫瘍を発生させる能力に欠けるものも含めて、原発巣から発見される細胞の全てが含まれる。という事それ自身が、ちょうど幹細胞と同様に、どのようなタイプの細胞も作れる事を示している。

「こういった細胞は上皮幹細胞と類似しているところがある。つまり上皮幹細胞も表面にCD44とESAを持っているからである。『このことはガンの治療について極めて大きな可能性を秘めている。というのは、どうすればこういった細胞を狙い打つかを考えることが可能になるからである』とクラークは言う。

「前述したボネは、現在は英国ガン研究所に勤務しているが、このクラークの研究について『独創的』であると述べている。

以上は「ニューサイエンテイスト」誌からの引用であるが、そのような引用を行いながら、『唯のビジネスマン』である「老生」がこのような専門的なガンの研究について何故関心を持つのか?という疑問を持たざるを得ないのに気がついた。そして、そのように自問しつつも解答は分からない。医師でもなく、ガンの専門家でもない己が何故この記事に興味を持ったのかも分からない。

今月の初めに68才になった「老生」は当然ながら友人・知人の中からガンで命を奪われた人々が少なくない。では、自分自身もガンが怖いのだろうか?答えは『ノー』である。なにしろ、拙文#161に記したように、不治の病に伏した場合には何時・如何に死するかを具体的にイメージしている『へそ曲がり老人』であるから、特にガンになりたいと希望はしないが、ガンを恐れてはいない。最近赤ワインしか飲まぬように苦心して努力してはいるが、本質的にはヘビードリンカーである「老生」にとっては、好きなバーボン・ウイスキー(特にワイルドターキー17年物)を遠慮なく無制限に飲めるという点では、ガンもまた楽し、とさえ思う。

それとも、年を取ってくると、最後に己を殺すかも知れぬものに対して単純な好奇心が増えてくるのであろうか?この質問に対しては己の解答はどうやら『イエス』のようである。『三途の川』を渡る時に何を思い、何を感じるか、については強烈な興味がある。


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