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#348 03/02/03

ダイオキシンを食うバクテリアの発見

英国の科学雑誌「ニューサイエンテイスト」誌の最新号(1月25日号)が「老生」の手元に届いた。その21ページには「老生」を喜ばせるニュースが記載されていた。そのタイトルは『ダイオキシンを食うバクテリア』とある。これはやはり良い便りである。先ず、その記事を下記に引用させていただく。書き手はダンカン・グラハム・ロウという記者である。この記者の記事はこのページに何度か引用させて貰っている。

「一連の公害源の中でも筆頭に挙げられるダイオキシンに対して戦う白馬の騎士が現れたようである:つまり、ダイオキシンを食って消化するバクテリアである。

「ドイツのハーレ・ウイッテンベルグ大学のマイケル・ブンゲによれば、ダイオキシンを破壊する能力を持ったバクテリアが初めて単離されたとのことである。このバクテリアの株は、現在の技術では手に負えない汚染された地域の土壌を浄化することが可能になりそうである。

「ダイオキシンは発ガン作用があるとして良く知られた物質であるが、同時に子供の免疫及び神経システムを撹乱する働きも知られている。ダイオキシンは、焼却、紙の漂白、プラステイック製造などの産業の副産物であり、その退治は極めて困難なことも良く知られていることである。その結果としてダイオキシンは環境の中に長く留まり、食物連鎖に潜り込み、動物の脂肪組織に蓄積される。

「米国の環境保護局によれば、高脂肪食品を摂取する人々にとっては、

ガンのリスクがそれだけ増加するという。

「従来のダイオキシン処理方法としては、超高温で処理するか、紫外線照射かしかなかった、とブンゲ氏は言う。『しかし、それらの処理方法はいずれも、汚染が広大な場合は実際には実行困難であった』

「ダイオキシン退治のバクテリアは、デハロココイデスと呼ばれる株で、北部ドイツのエルベ河支流の汚染がひどい地域で発見されたものである。このバクテリアによって破壊された物質はやはり毒性はあるものの、ダイオキシンそのものよりは残留性がはるかに弱く、その処理ははるかに容易である。

「ブンゲ氏としては、他の研究者もこのバクテリアを使って土壌を浄化する研究に参加して欲しいと望んではいるが、目的を達するのは決して容易ではない、とも言う。なにしろこのバクテリアを培養するのは難しく、ダイオキシンを分解するメカニズムもまだ解明されているわけではないからである。

と、以上が「ニューサイエンテイスト」誌の記事である。まだまだ難しい課題が残されているようである。そもそもダイオキシンを生み出したのは誰であろうか?他ならぬ『人間様』である。これを除去する責任を負っているものは誰か?これも我々人間である。

たいがいの産業は何かの形でダイオキシン発生に関与している。大きな工場は大量発生に、小さな産業でもサイズに応じた量のダイオキシン発生に参加して、結局は全ての人々がその責任を逃れることは出来ないのである。例えば、『今日は大事なお客があるので事務所に急がなければなりません。だから車で飛ばして行きます』という言い訳でダイオキシンを振りまく。「老生」も車を使う度に罪悪感を感じるが、事実は車を使わなくては現代に生きることは不可能である。とくに公共交通機関の未発達な地域では。

科学的知識に乏しい「老生」でさえ、ダイオキシン発生の制御が困難なことは理解している。ダイオキシンは大金さえ払えば除去は技術的には可能とも承知している。で、料金さえ払えば良心に痛みは感じないですむのか?そうはいかないのがこの世である。そして結局は、あらゆる人々が参加して自分自身の環境を毎日悪化させている、という結果になるのである。

自動車を運転しても、排気ガスのでない電気自動車でない限り、無罪とは言えないのである。タバコを吸っても、オフィスをペーパーレスにしても、トイレに行かず我慢しても、5千年前の生活と同じようにはいかないのが現代生活である。休暇を過ごすためにジェット機に乗るのも、公共輸送機関でA点からB点まで移動しても、大小の差はあるにせよ、結局は同じくダイオキシン発生という点からは皆が共犯なのである。

生きているというだけで誰もがダイオキシン発生に手を貸している現代では、誰もが子孫に対して大きな負の遺産を残しているのである。

「老生」はいわゆる大会社なるものに信を置かない。大会社では、右手のやることを左手が知らないということが多く発生する。ときには意図的に、いわゆる会社ぐるみの犯罪すら発生する。雪印のような最近の大会社の絡む数々のスキャンダルを考えてみても、実例に事欠かない。ラベルの改竄などは政府の一部が『指導』して行った形跡すら見られる。消費者としては何を信じたら良いのか?これら全ては、『大量生産大量消費』の申し子である。こういった社会を作ってしまった我々全員の責任であろう。これは何とかして改めなければ将来に希望の持てる社会は成り立つ筈がないではないか?

ダイオキシンをどうするかは大きな問題ではあるが、他にも大きな問題が山積している。でも、取り敢えず、ダイオキシン解決へのトンネルの先に明かりが見えそうなのは良きニュースではある。だだし、それだけで喜び過ぎるのも考え物ではある。問題は『心』であって、決して『技術』ではない、と考える「老生」である。


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