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#338 18/11/02

地球温暖化についてのデイーゼル・エンジンの不利な点

いつも引用する英国の科学雑誌「ニューサイエンテイスト」誌の11月2日号のまたしてもの引用をお許し願いたい。デイーゼル・エンジンと地球温暖化の関係についてニコラ・ジョーンズという記者の一文で同誌の9ページにある。

「ガソリン・エンジンは、燃費において強敵のデイーゼル・エンジンほど地球に対して有害ではない。ある複雑な気候モデルによれば、デイーゼル排気中の粒子状物質(煤)が、次の世紀にガソリン・エンジンが排出する二酸化炭素(CO2)以上に温暖化を進めるというのである。

「このニュースは、これまでデイーゼルの方がリッター当たりの走行距離(燃費)とCO2排出量の二点で、気候変化に対して優しいと信じていた人々にとっては大きなショックになるであろう。このモデルを作ったカリフォルニアのスタンフォード大学の環境技術者マーク・ジェイコブソンは『英国を除く全てのヨーロッパ諸国において、ついうっかり、デイーゼルに有利な税制を制定してしまった国々にとっては大きなショックになるであろう』と言う。

「デイーゼル・エンジンは比較的多量の粒子状物質を排出し、これが呼吸器系の疾患の原因となる。しかし、燃費については平均的に見て、ガソリン車より35%程度上回る。この点がグリーン・クレデンシアルとして多くの諸国がデイーゼル燃料に対する税金を低く設定してきた理由である。キロメートル当たりのCO2排出もおよそ6%少ない。

「しかし、今日までのところでは、デイーゼル・エンジンが排出する粒子状物質が気候に与えるインパクトの真の姿を判断することは極めて困難である。カーボンの黒い粒子(パーテイクル)が日光を吸収して大気を暖めるが、一方では地面を遮蔽し、地面をクールに保つ。粒子状物質は空気の湿度にも影響を与える、つまり、その周囲に水滴を形成する種子の役目を果たし、その他の汚染源がどれだけ大気中に堆積されるかに影響を及ぼし、それによって気候パターンを変える。こういった全てのファクターが粒子状物質が有益に働くのか、太陽光を反射するのか、また太陽光を吸収するのかに影響する。

「このジェイコブソン・モデルはこれら全てのファクターを考慮に入れている、そして1グラムのカーボンが1グラムのCO2に含まれる地球温暖化原因物質の36万から84万倍強力であることを示している。

「そういった次第で、CO2に関しては、デイーゼル・エンジンはガソリン・エンジンからの排出よりは少ないが、排出する粒子状物質は25から400倍も多いという事実により、地球温暖化の犯人として有力だということになる。クッキング・オイルや植物粉のリサイクルから作られるバイオ・デイーゼル燃料は普通のデイーゼル燃料と比べると、粒子状物質に関しては排出が30%少ないが、エンジンがその一生に働く期間に排出するCO2の量はおよそ半分である。しかし、そのバイオ・デイーゼルでさえも、使用始めの数年間はガソリン・エンジンと比べると温暖化の原因となる。

「しかしながら、長期的観点からすれば、全体像は完全に変わる。粒子状物質が大気中に留まるのは数週間かせいぜい数ヶ月である。一方のCO2は50年から200年ということになる。従って、ジェイコブソンが言うには、ガソリン・エンジンを原因とする温暖化は今後100年程度であるのに対して、その集積した結果は今から150年後に、より大きい利子としてツケが回ってくるという計算になる。

「とは言え、彼の指摘では、その頃までには、例えば最終的に水しか排出しない水素燃料電池というような、クリ−ン技術が実用化されているだろう。その時点までは、デイーゼル・エンジンとガソリン・エンジンとを比べると、ガソリンが有利という判定になるとジェイコブソンは言う。

「NASAとコロンビア大学の研究者スバリ・メノンはこのジェイコブソン・モデルに強い印象を受けたが、彼女の意見では、最終的な結論を出す前に、エンジンの排出する粒子状物質とCO2だけでなく、例えばエアゾールなどのすべてについても同様な検証が必要である、とのことである。

「粒子状物質が健康に与える悪影響だけを見ても、デイーゼル・エンジンの排ガスを削減するよう努力すべきであることは明白だ、と彼女は言う。またジェイコブソンはいう、『問題は、私たち全ては二つの方向で立ち向かう必要があります。CO2を無視することは許されません、しかし、デイーゼルの粒子状物質の削減が地球温暖化を遅らせるための最も効果的な方法だと思います』。

さて、ここで「老生」は困ったことになる。なにしろ常に『黒白を明確にせよ』という人生観でこの年まで毎日生きてきた人間である。イメージとしては『黒は「悪」の代表、一方の白は、白馬の騎士というごとく「善」の代表である』全く我ながら子供じみた単純すぎる発想である。この雑誌の文章を読むまでは、単純にガソリン・エンジンは『白い』煙は出すが『悪い奴』、一方のデイーゼルは『黒い』煙を出すやはり『悪い奴』というように単純に考えていたものだと気がついた。この世の全てはかように複雑なのである。そろそろ老害を出す前に引退すべき時期も近いのではなかろうか?


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