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#222 05/01/01

最初に21世紀を迎える事とバケツ

目下「老生」はニュージーランドのクイーンズタウンという小さいが美しい町でこの拙文を書いている。何故ニュージーランドなのか?それには色々と訳があるが、単純に言えば、ニュージーランドと日本の間には時差が少なく、よって旅が疲れないのと、また恐らく、世界で最初に21世紀を迎えるであろうと、「老生」が勝ってに考えたからであり、その仲間入りをしたかったからである。しかも、この旅は普通のビジネス旅行ではなく、ホリデイ旅行なのである。「老生」にとっては生まれて初めてのホリデイの旅である。どちらを考えても素晴らしい事ではないか?

こういう訳で「老生」は三百八十万のニュージーランド国民(プラス数千人の外国人旅行者及び数百人の日本人観光客)と共にニュージーランドに滞在している訳である。「老人」がオークランドに到着したのは二十世紀最後の日つまり大晦日の早朝であった。日本を出る前にはニュージーランドは夏だからと思って軽装できたが、何と、寒いのである!この国に着いて最初にしたことはセーターを買うことであった。

ともかく、その日の夜の真夜中にオークランドから日本に電話してやろうと考えていた。「どうだ、俺はもう21世紀だぞ」と自慢したかったのである。先ず東京に住む娘に電話した。ちょうど12時である。しかし娘との会話は殆ど不可能に近かった。何故か?21世紀を迎えた瞬間にオークランド市内の花火が打ち上げられ、その轟音は一流ホテルの厚いガラス窓でさえも防げないのである。娘が聞いたのは花火の轟音だけであったと思われる。

さて、オークランドの観光の次に「老生」が訪ねたのはスキー場としても名を知られるトンガリロ国立公園である。三つの活火山、トンガリロ山、ガウルフエ山、ルアペフ山がある。最も標高が高いルアペフ山は2800メートルある。そのルアペフ山麓にあるグランド・シャトーというホテルにチェックインして、豪華な部屋に入った。長距離のドライブで疲れていたので「老生」は先ず風呂に入りたかったのである。バスタブに湯を入れようとしていた「老生」の目に入ったあるものがあった。日本語で何か書いてある。何と『お部屋を出る際には必ずお風呂の蛇口をお締めて下さい』と書かれているのだ。こういった警告が大人に対して一体必要なのだろうか?あるいはジョークなのか?

何故日本語だけで他の言語での同様な注意書きはないのかが謎である。しかし、これは明らかに『日本人だけに対する注意書き』である。ホテル側では日本人にはこうした注意書きが必要と考えているのであろう。このホテルに泊まる様々な国籍をもつ人々中で日本人にだけはこの注意書きが必要と考えているのだ。『大変ご親切なことで有難う!日本人は知性が低く西洋風呂の使い方も知らないのだ!』。

さて、冗談は別にして、ホテルとしてはわざわざ日本語の注意書きを作ってバスルームの蛇口のところに貼り付けたということはそれなりに真剣に対応したわけで、何かはっきりとした理由があるに違いない。それは何か?おそらく実際に日本人客が水浸し事件を起こしているに違いない、それも一件や二件ではなく、相当数あったと見て間違いあるまい。さもなければホテルが手間ひま掛けてプラスチックの注意書きを作る筈がないではないか?

そこで「老生」はバケツ(Bucket)と大声で叫びたくなった。なぜバケツか?理由は以下の通りである:

あるとき「老生」の会社の英国人パートナーが何かに腹をたてた時バケツと叫んだ。「老生」は彼に尋ねた、「なぜ急にバケツなのか」と。すると彼は、「両手の小指を口に入れて口を左右に引っ張ってから英語でバケツと言ってみろ。そうすると『ファック・イット(Fuck it)』としか発音できない筈だ」と言った。

教育のあるイギリス人として人前で汚い言葉は使えないので『コンチキショー』と言えない場合にこのバケツをもっぱら使っている由。そこで「老生」も腹が立つ場合にもっぱらこのバケツを用いている次第である。


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