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#218 17/12/00

精神障害者の雇用について

99年10月10日付の#126号と本年2月7日付#153に書いた拙文の主題として取り上げた事ではあるが、「老生」は、昨年の障害者の日(12月9日)に、主として障害者を雇用することを目的とした『普通の会社』を設立した。以来、その会社がなんとか自立し、生き延びるために「老生」はあらゆる努力をしてきた積もりである。しかしながら、主として、この国の心ない税制のために、実際には極めて困難なことがわかってきた。

日本にもNPOの制度も勿論存在する。またハンデキャップを持つ人々をバックアップする制度も存在する。しかし、障害、中でも特に精神障害を持つ人々は、自らの障害を世間に知られないことを望むのである。

現行の制度では、援助を受けるためには、団体なり会社は、障害者を雇用することを表明しなければならない。だが精神障害者の場合は、障害を持つことを世間に知られたくはない。身体障害の場合には、知られるもなにもない。例えば腕がない、足がない、あるいは車椅子などのようにはっきりと他人の目にみえるからである。隠そうとしてもハナから隠すことはできないから隠そうともしない。

精神障害の場合は、普通の人々の目には障害は見えない。障害者に対する偏見がある場合には特に隠そうとする傾向がある。「老生」にもその心理はよくわかる。

別の言い方をすれば、障害者は『普通の会社』で働きたいのである。他の国における精神障害者の立場について、「老生」にはあまり知識がないが、日本には200万人の精神障害者がいる。そしてその多くがまともな仕事がないのである。仕事がないから住居もない。両親が健在の間は深刻な問題もすくないが、人はいずれは死ぬ。そして両親が死んだ瞬間から深刻な問題が発生することになる。

精神障害を隠したい気持ちは「老生」にもよくわかる。しかし、医学的見地からすると、隠さない方が良いのかも知れない。隠そうとする努力自体がストレスの原因となるからである。偏見がある限り隠そうとする気持ちはわかる。

障害を隠して就職したとしても、#153にも書いたように、アップとダウンが発生し、ダウンの日には休む事になるので、いずれは問題が発生してくる事になる。例えば、精神分裂病を例にしよう。雇用者の側に医学的知識がない限り、雇用者の目にはただの怠け者と映るであろう。そして障害者は解雇されることになるであろう。そして、職を失った障害者には、まともな住いも確保できなくなる。

「老生」は最近英国と米国の障害者を雇用してなおかつ経営的に順調な会社のいくつかを自分の目で見てきた。聞いてみると、経営内容は実は半分程度が非課税の企業献金で賄われているのである。つまり、日本と他の先進国との違いは、この税制にある。いかなる企業も税金を払ってまで献金あるいは寄付行為はしないであろう。

200万もの職と住まいを得られない人々、そして障害を隠したい人々に対してまともな援助を与えない国を文明国といえるであろうか?障害を隠したいという願望を高望みといえるであろうか?「老生」の答えは、どちらの質問に対してもNOである。ただし、精神障害者に対する偏見がある限りという条件つきではある。また、精神障害者を雇用する会社に対する寄付を非課税にすることは不公平であろうか?「老生」の答えはこれもNOである。

仮にこのような寄付に税金を免除すると、悪いやつが悪用して不法な所得を得る輩が出るかもしれない。そして、だから免税にはできないと大蔵省は言うであろう。しかし、それは瑣末な事である。要するに『心』の問題である。『弱者に対する配慮』の有無の問題である。「老生」が常に己に言い聞かせているのは『意思のあるところ道あり』である。この国の官僚と政治家には不幸にしてまず『意思』がない。

どうもこの国はどこかおかしい。どこがおかしいのか?税制であり、『弱者に対する配慮の欠如』である。


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