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#210 01/11/00

遺伝子操作の稲からB型肝炎の抗体を作る

本日(11月1日)の英文読売に科学者のチームが驚くべき新技術を開発したという記事がある。「老生」は基本的には遺伝子操作食品には反対意見の持ち主である。しかし、この記事にある遺伝子操作の稲の計画には反対は出来ない。何故なら、世界の多くのB型肝炎の患者に対しては大きな福音であるからである。先ずは、その記事の引用をさせていただく:

「10月末日に本紙が入手した情報によれば、東京理科大学の研究チームが、B型肝炎の抗体を生み出す稲を、遺伝子操作により作ることに成功したとの事である。現在までのところでは、抗体を製造するには、B型肝炎ウイルス・キャリアーの血液が用いられてきた。

「同大学の千葉教授の言では、B型肝炎ウイルス・キャリアーの血液の代わりに稲を使えば、製造コストが低下するだけでなく、製剤にウイルスが混入する可能性が低下するというメリットがある、とのことである。

「全世界にはおよそ3億人のB型肝炎ウイルスキャリアーがいる。発展途上国では、高価な免疫グロブリンや抗体を購入する資金がない。従って、B型肝炎を防ぐ術がない。

「B型肝炎の患者の数が非常に多い中国では、この方式で免疫グロブリンを開発することに関心を示している。その理由は簡単で、低コストで大量生産が可能だからである。すでに上海の生化学研究所では、この方式での生産を実行するためのチーム編成も済ましている由。

「B型肝炎ウイルスへの感染は、大多数が誕生時である。各種の研究結果が示しているのは、ウイルス感染の危険がある新生児に対して、免疫グロブリンと併せてワクチンを与えれば、B型肝炎ウイルスに感染する可能性は殆ど完全に防げるということである。

「日本を含めた先進国では、B型肝炎患者数は確実に減少の傾向がある。これまでのところは、B型肝炎ワクチンも免疫グロブリンも、いわゆるハイテク技術に頼っていたが、この研究チームは、これらのハイテク技術に頼らずに、非常に製造を単純化することになる。

「この研究チームは、B型肝炎ウイルスの抗体を稲の遺伝子に植え付け、それを栽培することによって、抗体を産出する遺伝子の創出に成功した訳である。

「同チームは、こうして栽培された稲の葉から抗体を抽出し、試験管レベルで実験を行い、抗体がウイルスにくっついてウイルスを殺すことを確認した。

この拙文の冒頭で述べたように、同様な遺伝子組み替えについて反対の立場でかなり多くの文章を書いてきた「老生」ではある。しかし、このニュースを読んでみると、頑固な老人も意見を変えざるを得なくなる。遺伝子操作すべてをひっくるめての『反対』は正しくないと気がついた。常に何事にも、良い点と悪い点があるのだ。

例えば、大豆の生産効率を上げるため、つまり儲けのための遺伝子操作テクノロジーは『悪いやつ』で、人の命を救うための遺伝子操作は『良いやつ』なのだ。「老生」の考えは単純過ぎるであろうか?しかしながら、「老生」がこの年までモットーとしてきたことの一つは『シンプルは常にベター』である。

例によってオックスフォード・コンサイス医学辞典を参照しよう。B型肝炎を引くと、以下のような説明である。『B型肝炎への感染は、ウイルスであるが、汚染された血液製剤、汚染された注射針、輸血、刺青針、セックス関係、あるいは他の体液との接触(例えば母乳、汗など)によって発症する。1−6ケ月の潜伏期間で発症する。感染した場合、頭痛、発熱、寒気、及び黄疸症状などを伴う。死亡率は5−20%であるが、最近ではワクチンで予防可能』と書かれている。

残念ながら本拙文とは全く関係がない記述しか発見できなかった訳である。


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