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#208 25/10/00

五千年前の男(3)

「ニューサイエンテイスト」誌#2259(10月7日付け)を再び引用させて頂きたい。五千3百年前の通称エッツイ(Otzi)というミイラの話題である。「老生」がエッツイについてこのウエブサイトに書くのはこれで三度目である。エッツイについてではあるが、いずれも異なったアングルから見た拙文である。一回目は昨年10月19日(#129)、二回目は約2週間前の、本年10月10日(#205)である。なぜエッツイについて関心があるのか自分でもわからない。ともかく同誌は次のように言っている:

「1991年にアルプスの氷河で発見されたエッツイは孤独のなかで死んだのではない可能性が出てきた。この新石器時代のミイラの内部組織をはじめてチェックした科学者は、彼には仲間がいて、丁寧に埋葬されたのではないかと疑っている。

「先週、イタリーの南チロル考古学博物館に保管されているエッツィを、グラスゴウ大学の法廷病理学者ピーター・バネジス氏がチェックした。その結果、エッツイは孤独な羊飼いで、事故死したとする従来の定説は疑わしいという事になった。

「X線とコンピューター化したX線装置で検査したところエッツイは関節炎を患っていたことが判明したとバジネス氏は言う。また、エッツイは40歳代で、当時としては年寄りであったとの事である。『そのような老人が仲間も連れずに単独で高山を旅したとは考えにくい』と同氏は言う。同氏によれば、エッツイの遺体は動物によって荒らされていなかった由。その事実と、エッツイが持っていた登山用の道具を考慮すると、遺体は死後ていねいに埋葬されたことを物語る、と同氏は言う。

「バジネス氏の希望としては、さらに調査を進め、自分の見解を確認したいとしている。同氏はエッツイの背中と腹面から組織サンプルを採取した。その目的は鉄分の含有量を比較することである。『遺体が死後上向きに埋葬されたとすると、血液が背中に集まる、すると血中鉄分から検出される鉄分が多くなる』と同氏は言う。

さて、「老生」が昨年10月に初めてエッツイについて書いたとき、彼がアルプスの氷河をさまよっていたのと殆ど同じ時代に、あまり遠くもない北アフリカのエジプトでは、エジプト人たちがピラミッドの建設に汗をかいていたと考えると、その偶然にとても興味を持ち、その感想を綴ったわけである。

二回目は#205で、おそよ2週間前の(今年の)10月10日に書いたものである。そのタイトルは『アイスマン・エッツイ分析のため解凍される』と書いたと記憶する。これは10月2日の英文読売新聞の記事に基づいたものである。

この拙文は英国の「ニューサイエンテイスト#2259」に基いて書いたことは本文のはじめに書いた通りである。ともかく、エッツイは年齢40歳代、そして関節炎と動脈硬化を患っていたという。その上、グラスゴー大学の専門家によれば、エッツイは孤独のうちに死んだのではなく、仲間と一緒の旅であり、仲間が遺体を埋葬したと結論したのである。氷河で孤独に死ぬより、仲間に丁寧に埋葬される方が、同じく死ぬにせよ、よほど良い。エッツイのために喜んでいる「老生」である。

こうした科学者たちは、当然ながら、今後も調査・研究を続けていくであろう。従って、新しい発見もされるであろう。ただし、急ぐ必要は必ずしもない。目下エッツイは零下6℃の特別室に入居しているのである。それに、なによりも、彼はすでに五千三百年も眠っているのだ。「老生」としてはその眠りが平和な眠りであることを祈る次第である。


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