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#205 10/10/00

5000年前の男分析のために解凍される

昨年の10月に「老生」は5000年前の男という題で、今や世界的に有名なエッツイと呼ばれるアルプスで登山者によって発見された世界最古のミイラのことを書いた(#129、99年10月9日付)。一方、今年の10月2日付け英文読売新聞に、ルーター電の引用ではあるが、このエッツイについての記事が出た。その一部を引用させていただく:

「『エッツイ』と呼ばれるイタリアのアイスマンが最近解凍された。目的は科学者が、5300年前にアルプス地方を歩き回っていたこの男についてさらに調べるために、その肉体の一部をサンプルとして採取することである。

「この世界最古のミイラ、すなわち彼が発見された谷間に因んでエッツイと呼ばれることになったミイラは、現在、彼が5000年も保存されていた自然環境に似せた条件で保存されている。摂氏マイナス6度に保たれた特別な部屋で眠っているのである。

「だが、先週の日曜日(10月1日)科学者たちは室温を摂氏プラス2度まで上げた。各分野の科学者からなるチームが月曜日(10月8日)に各種検査のために、彼の体からサンプルを採取するためである。これは1991年に彼が発見された直後のサンプル採取以来、初めてのことである。

「現代の各種犯罪の解決のため警察に協力しているスコットランドの法廷科学者、ヴァネジス博士はアイスマンの死因の解明を希望している。これまでに最も一般的に受け入れられている仮説は、彼は羊飼いで雪嵐に遭遇して、避難していたが寒気のために死亡したというものである。しかし、本当の死因はこれまでのところ明らかにされていない。

「ヴァネジス博士がルーターに語ったところでは、博士は皮膚のサンプルを採取した由。その目的は、サンプルの中の鉄分を分析することにある由。鉄の分析によってエッツイが死亡した際に、体内の血液のあり場所によって、仰向けで死んだかうつ伏せで死んだか見当がつけられるそうである。

「『もちろんこの分析で彼の死因が分かる訳ではありませんが、死因についての何かの手がかりになるかも知れないからです。何らかの自然死の結果あの場所まで移動して仰向けに横たわったのか、あるいは事故死の結果前向きに倒れたまま動けなかったのか、などについての手掛かりです』と博士は言う。

「一方、チューリッヒのスイス州立技術研究所のウオルフガング・ミュラー氏はオッツィの歯に関心を持っている。彼が採取したサンプルは上あごの歯のエナメル質小片である。歯のエナメル質にはオッツイが育った場所を特定できる成分が含まれているからである。

「『歯のエナメル質は、食べ物から体内に取り入れられたミネラルによって決まり、またミネラルは基本的にはその食べ物が育った土壌によって決まります。だからだれでも幼い頃の食べ物の署名をミネラルの中に少量ながら持っています』とミューラーは言う。

「『相当地理的に広い地域から、アイスマンが生まれた地域を特定するのは容易ではありませんが、少なくともおおまかな手掛かりは得られると思います』とはミューラーの言である。

血液中の鉄分と歯のエナメル質。これだけで科学者は結構精度の高い推定が出来るのである。血液と鉄分の関係は「老生」にも理解できる。しかし、歯のエナメル質とミネラルとの関係はまったく理解の外である。が、ともかくこの記事は何となく理屈に合っているように「老生」にも思われる。それにしても、なにしろ5000年前に死んだ人間のものである!

もしも、「老生」がオッツイの立場にあったと仮定してみよう。このペ−ジに何度もかいたように、「老生」にはオリジナルな歯が少ない。さすがのミューラー博士にも、「老生」の歯の小片からは化学合成のプラステイックしか検出できまい。エナメル質はないのだ。現代の先端技術を混乱させるのも愉快ではないだろうか?『愉快犯』を好む「老生」ではないが、なにしろ「老生」は英語では「アイスマン」ならぬThe "Mere Old Man"なのだ!


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