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#101 21/07/99

老化のプロセスを遅らせることは可能か?

  毎度のことながら、以下は本日(99年7月21日)に「老人」が読んだタイムズ紙の一記事である。老化進行の真っ只中の「老人」には、やはり見逃せない記事なのだ。許されよ。

 「ミバエと百才まで生きる人間とポンコツ車の間の関係はいかに?と問われて戸惑う人は多いであろう。が、答えは謎に満ちた統計学者が老化の進行に光を当てたところから始まる。というのも、老化とは、不可避的にかつ加速的に進行する生命の衰えとは程遠く、むしろ、運が良ければ、偉大なる年齢に達する事を可能にするものに見えてくるのだ。また、25万キロも走ってくれた愛車のボルボに起こる現象も、人間に起こる現象として捉えることができるように見えるのだ。

 「大抵の人々は、年を取るにつれて死ぬチャンスが密かに増加すると考えている。これはある点までは事実である。65才台の100名を無作為に選ぶと、その内の5名は翌年に死ぬ。75才台の100名では、翌年死ぬ人の数は8名になり、85才台では11名になる。

 「しかし、非常に奇妙な事がここで起こるのだ。すなわち、90才台になると、死亡率が横這いになるのだ。そして、100才台になると、100名中の死亡者の数が再び8名に落ちるのである。100名中の1名が翌年死亡するチャンスは85才の100名の中の1名の死亡可能性より大きくない事を意味するのである。

 「これらの数字は常識に反するように見える。そこでドイツのロストックにあるマックス・プランク統計学研究所のジェームス・ボーペル博士をリーダーとした研究チームが、昨年、人間以外の他の種を研究した。対象はイースト菌、線虫、5種類のミバエ、蜂等であった。

 「人間についてのデータにはいささか問題がある。というのは100才以上の人の数が少ないので統計的に偏っている。だからこそ大変な数の動物が研究された訳である。ミバエについては2.7百万、線虫は65万という数であった。サイエンス誌に発表されたこの研究チームは”死亡率の低下は種を超えて起こっている”と報告している。

 「同チームは自動車について、特にトヨタ車とボルボ、いずれも1970年と1980年に登録された車を調査した。再登録されない事をもって車が死亡したと見なした。そして、結果は全く同じ傾向を示したのである。車については、10才台に死亡率が最も高く、その後次第に低下する、との事である。

 「統計学者によっては、この結果について、自然な個人差、あるいは固体差で説明できると反論するものもいる。つまり、統計学者の専門用語で”弱者の不均質性”と呼ばれる現象である。弱い個体は若死にし、強者が生き残る訳である。その結果、均一化した集団においてよりも、年齢によっての死亡率はよりゆっくり上昇するというのである。ボーペル博士も、この説明で自身の研究結果に当てはまると認めているが、一方では、これに加えた何か別の説明がある筈だと信じている。

 「同博士が言うには、年配者には、老化プロセスを遅らせる何かが実際にある。そしてそれは恐らく、彼等のライフスタイルが穏やかで、自己保存の技術を習得しているからだという。

 「もし、同博士が正しいとすると、次ぎの世紀には、社会保証制度や年金制度を計画する人々が一般に考えるよりも、より多くの高齢者が生まれることになる。博士が言うには、”先進国で今年生まれる子供達の半数は91才まで生きるだろう。白人の女児の半分は95才あるいは100才の誕生日を祝うことが出来るかも知れない-----但し、統計数値が過去80年のデータに基づくか、あるいは過去30年のデータに基づくかによって結果は変わるであろう、とも言う。

 そこで「老人」の考えであるが、この研究結果はそれなりに面白い。勿論、健康に長生きすることは誰にとっても望ましいことである。それは議論の余地がない。しかしながら、最近の研究結果、特に母乳にダイオキシンを含む毒性化学物質が350種類も含んでいた事実などを鑑みるに、「老人」にとっては、統計学者という人種は、よくもこれだけ楽観的になれるものだと感嘆する次第である。

 あえて「老人」に言わせれば、先進国で今年生まれる子供達は、91才どころか、50才に達するのさえ難しい、と考える。地球人全員が、今直ちに、母なる地球を汚染から救うべく何かを積極的に行えば、何とかなるのかも知れない。「老人」の考えは誤っているであろうか?

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