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#095 12/07/99

生体肝のドミノ分割移植が臓器不足に対する希望を生む

 この週末は日本中の各メデイアが京都大学病院で行われた生体肝のドミノ分割移植のニュースで埋まった。7月11日付の英文読売にスタッフ・ライターの本間まさえさんが次ぎのように書いている。

 「土曜日(7月10日)に京都大学病院で無事に完了した世界初の生体肝のドミノ移植は、臓器移植に必要とされる臓器不足を解消する希望の星となりそうである。しかしながら、専門家によれば、この手法が定着するか否かは、ドクターと患者の間の、いわゆるインフォームド・コンセント及びインフォームド・チョイスがいかに行われるかに掛かっている。

 「今回の一連の手術は合計三名の尊い命が救われた。健康なドナーの肝臓の一部が一人の男性患者に移植され、その患者の肝臓が二つに分割されて、二人の患者に移植された訳である。

 「1997年に臓器移植法成立以来初めての脳死のドナーからの肝臓移植が今年2月に行われた。しかしながら、この国で脳死のドナーによる肝臓移植が定着するまでには、まだまだ長い道のりがある。

 「京都大学病院には、41名の患者が登録されて、脳死ドナーからの肝臓提供を待っていた。その内16名は生体肝移植に変更し、また5名はウエイテイング・リストに載ったままで死亡している。

 「アメリカでは、脳死したドナーからの肝臓提供が普通であり、1998年だけをとっても5000名もの患者が新しい肝臓を持ったことになる。ただし、一方では、1300名の患者が適合する臓器が発見できずに死亡している。

 「そのアメリカでさえも、臓器不足が目立ち始めている。平均待ち患者数は1988年の34名から、1997年には477名に増加している。この状況はヨーロッパ諸国でもほとんど変わらない。

 「このような臓器不足が背景にあるがため、医師達をしてドミノ移植や、分割移植へと走らせているのである。京都大学病院がこの度行った手術はドミノと分割を組み合わせた手法であり、世界で初めてのものである。手術自体は議論がかしましい中で実行された。

 「分割移植された肝臓はFAP(アミロイド・ポリニューロパシー)と呼ばれる、体内に異常な蛋白質を沈着させて神経障害や感覚障害を引き起こす肝臓疾患の患者からのものであった。批評家は、この手術はFAP患者を狙い撃ちにするものであるし、移植を受けた二名の患者が将来FAPになる可能性を無視できない、と言う。

 「これに加えて、分割肝移植は、移植される肝臓の状態がよほど良い場合でなければ、全体移植に比べて効果が少ないとも言われている。

 「老人」はFAPという名前の疾患を知らなかった。そこでファミリー・ドクター(偶々外科医である)に聞いてみた。ドクターによれば、FAPを発症させる原因についてはまだ良く分かってはいないらしいが、肝臓で作られる蛋白質が異常ではあるものの、その他の肝機能は正常で、発症には平均で30年は掛かるとのことであった。

 分割肝移植を受けた患者は一人が40才台の女性、もう一人が10台後半の女性とのことである。仮に30年でFAPが発症するとしても、前者は70才台、後者でも40才台後半である。この手術がなければ、あと数年生きられるか否か不明の手術前の状態と比べれば、メリットは大いにあると思われる。

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