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#093 06/07/99

不妊(男性側の原因による)問題の解決

  昨日内分泌撹乱化学物質に係る一文を書いた。俗に環境ホルモンと称する化学物質は男性機能の低下、即ち男性をしてメス化するものと考えられている。その翌日の今日(7月6日)の英文読売新聞のサイエンス欄に面白い記事を発見した。ワシントンからのアソシエッテド・プレスの署名記事であるが、レポーターはポール・レサー(Paul Recer)とある。記事を先ずは引用しよう。

 「精子の数が少ない男性にも子供を作れる新しい技術が開発された。子供を作ることは出来るが、そういう男性にとって、男の子が生まれた場合には、その男の子も父親と同様に精子の数が少なくなることはあり得る、との事である。

 「ハワード・ヒューズ医学研究所の研究者デイビッド。ページ氏によれば、男性のおよそ10パーセントがY染色体の遺伝的異常によって精子の数が少ないか、あるいは無精子症な由。

 「こういった男性が体外受精技術(IVF)によって子供に恵まれたとしても、生まれる子供が男の子の場合は、その子は父親の遺伝的異常を受け継ぐことが多いとの事である。女の子の場合は、父親から引き継ぐのがY染色体ではなくX染色体であるため、そのような事は起こらない。

 「これは、このような男性が、かりに体外受精によって男の子に恵まれたとしても、孫に恵まれるか否かの保証はない、ということになる。

 「米国では不妊に悩む夫婦はおよそ10パーセントから15パーセントいるが、夫の側に問題のある不妊が約50パーセントを占める。そして最も多いのが夫の精子数の不足である。精子の数の不足はAZFcと呼ばれるY染色体の遺伝的欠陥によるケースも見られる。

 「正常な精子の数は、一回の射精で一立方センチ当たりは五千万から二億であるが、遺伝的な問題を抱えるAZFcの男性の場合は、ゼロから五百万程度である。

 「ページ氏によれば、精子生産にはY染色体のAZFc部分が重要な役目を持っており、理由は不明ながら、男性の中にはAZFcに突然変異が起こるらしい。この状態は不妊に繋がるのであるから、突然変異は遺伝するとは考え難い由。

 「体外受精技術が登場する前には、こういった男性は子供を持つことは出来なかった。しかし、ICSIと呼ばれる細胞質内への精子の注入の技術が開発されてからは、精子がたった1個でもあれば、いわゆる試験管妊娠が可能となった。

 「ICSI技術はペトリ皿の上で、一つの精子を一つの卵子に対して注入する技術である。胎芽が発育すると、母親の体内に移され、いわゆる正常な形での妊娠となる。

 「この形で生まれる女の子については、全て正常であるが、ページ氏によれば、AZFc遺伝子に問題のある父親から生まれた男の子四名を調べたところ、いずれも遺伝子欠陥が見られたとの事である。

 さて、「老人」には子供がいると読者はお思いであろうか?勿論いるのである。娘が二人である。いずれも、もはや30才を超える。一人は既に結婚しているが、末娘は独身である。この事実は、「老人」には上記の問題がなかった事を意味する。

 仮に「老人」が上記の記事にあるような問題を抱えていたとしても、「老人」は、そのページ51および66(それぞれ99年2月4日と99年3月19日付け)に記したように、動物の経営する精子のトレーニング・スクールにも行かないし、ましてや遺伝子操作で自分の子供を欲しいとは思わない。GM技術はまだまだ非常に若い技術であるという認識があるからだ。

 遺伝子操作生物の安全性については、残念ながら何人も正しい答えを与えられる段階まで進んではいないと考えるのが正解である。

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