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#081 09/06/99

避妊ピル解禁とクローン牛肉販売のいい加減さ

6月3日の中日新聞の報道によれば、経口避妊薬ピルがこの秋にもわが国においても販売が開始されるとの事である。経口避妊薬ピルについては賛否両論があり、両論共にそれなりの理屈はある。だからこそ欧米に遅れること9年にしてようやく解禁になるわけである。

一方、翌日6月4日の同じ中日新聞によれば、クローン牛肉の販売について表示の「義務化」は結論が先送りされたとの事である。

かたや厚生省主管の事柄であり、かたや農水省主管の事柄である。従ってこれら二つの事柄について、全く同時に結論を出せ、とは、日頃から官僚について文句の多い「老人」といえども、そこまでは要求しない。

しかし、それにしても、世界中で6千万人が既に使用しているピルに対してかくも慎重な姿勢を示した厚生省と比べて、この農水省の見識の無さはどうであろうか?米輸入の自由化など、農民に対して厳しい事を要求せざるを得ない農水省であるから、農牧業に対して保護的になることは分からぬではないが、安全性について充分なる検討をしたとは思われないクローン牛肉の出荷を、かくも容易に認める農水省の態度には全く納得できないものがある。

一体農水省は、「自主表示」を牧畜業者と小売業者がどれだけ実行すると考えているのであろうか?特に小売業者のしたたか振りについて、少々甘く見ているのではないだろうか?自分自身がビジネスに携わる「老人」としては、この農水省の決定は大甘と考える次第である。自主表示をするようにとの「通達」だけで事が済むと考えるのは官僚の官僚たる所以であって、実際のビジネスの修羅場では、事はそう簡単には済まないと「老人」は考える。

受精卵クローンと体細胞クローンの違いについて、科学者ならぬ「老人」には判断は出来ぬが、クローンなる技術が、この地球上に生まれてからまだほんの僅かの時間しか経過していない事実には注意すべきと、「老人」は考える次第である。すでにこのページに記した、ジェレミー・リフキン氏の「バイテク・センチュリー(集英社発行)」の一読を勧めたい。そして、それでも分からぬ官僚は、とても公僕とは言えぬので、即時引退をお勧めしたい。

世界でもトップクラスの科学者が慎重論を展開するクローン技術に対して、農水省・畜産局の生半可な官僚が、「自然界の双子や三つ子と原理は同じで、安全性に問題は無い」との判断はいかなる根拠によるものか、明確なる説明を求めたい。

クローン牛肉の表示の「義務化」について結論先送りを行ったのは、これも先送りの理由を明らかにして貰いたい。大体小売業者が、罰則を伴わない行政指導で、「通達」で事が済むと考える事自体が「行政」の思い上がり、即ち「傲慢」と言わざるを得ない。

バイオテクと言えば、何となく「科学的進歩」と思いがちであるが、ジェレミー・リフキン氏の著書にある通り、科学の全てが「善」とは限らないのである。「取り返しのつかない科学的進歩」もあるのである。

「老人」の考えるところ、この度のクローン牛についての「義務化」結論先送りは、牧畜業者を代弁した農水省の「エゴ」にありそうな感じがする。「老人」の思い過ごしでない事を願うばかりである。

クローン牛肉の表示について「義務化」の先送りに腹が立つのは、「老人」はクローン牛肉は食いたくないからであり、また、厚生省の行った経口避妊ピルの解禁に対しては、「老人」は反対の立場である。その理由は単純で、わが敬愛するDr. Paul Claytonがピルに対して充分なる注意をして使用するよう呼びかけているからである。従って、「老人」は己の娘に対しては、ピルの使用には充分注意するようにE-Mailを送ったところである。

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