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#059 25/01/99

エイズに係わる最新の統計数字

アメリカの科学雑誌に「デイスカバー」というのがある。その1月号にエイズ罹患者の世界中の数が発表されている。その一部を紹介しよう。大陸別に多いところから列挙する。念のため言うなら、1998年の数字である。

1.

サハラ以南のアフリカ

21,000,000

2.

東南アジア

5,800,000

3.

ラテン・アメリカ

1,300,000

4.

北米

860,000

5.

ヨーロッパ

480,000

6.

極東(日本を含む)

420,000

7.

カリブ海地区

310,000

8.

中近東・北アフリカ

210,000

9.

東欧・中央アジア

190,000

10.

オセアニア

12,000

          

大体、以上の通りである。サハラ砂漠以南のアフリカが断突である。更に細部を見ると、アメリカでは96年から97年にかけて47%の低下が見られるが、これは主として高価な薬品の使用によるもので、この傾向はアメリカと西ヨーロッパに限られる。その他の地域はおしなべて見通しは暗い。

罹患者の数は全世界で3千万人を超えるが、その90%以上が発展途上国に住む。一日に新しく発生する患者は約1万6千人に達する。アフリカのジンバブウエーでは成人の四分の一が感染していると推定されている。一国として罹患者が多いのはインドで約4百万人であるが、総人口が10億弱であるから、パーセントでみると1000人に4名、即ち0.4%になる。

人口に占める罹患者のパーセントが高いのは、やはりサハラ以南のアフリカである。成人の10%以上が罹患している国は、前述のジンバブウエーから始まり、上位9ケ国がアフリカである。順位は別にして以下の国々である。アルファベット順に述べると、ボツワナ、ケニア、マラウイ、モザンビーク、ナムビア、ルワンダ、南アフリカ、ザンビア、ジンバブウエーとなる。

これらの国々における平均寿命は、現在48才であるが、仮にエイズがないと仮定した場合、平均寿命は58才まで延びると計算される由。また、もう一つの悲劇は、エイズで死亡するのは壮年期が多いので、犠牲者が出た場合、家庭的にも、また国家経済の面からも大きくなる。

では、アフリカ諸国は全てエイズが多いかというと、必ずしもそうではない。例えば西アフリカにセネガルという国がある。「老人」は若かりし頃、この国をよく訪れた。アフリカ全大陸の中で食事が最もうまい国であった。食事はともかくとして、この国のエイズ罹患率は2%を下回る。その理由は欧米のような高価な薬物によるものではない。それは、この国では、はっきりとしたエイズ予防プログラムがあり、学校、クリニック等で性教育がしっかりしているからである。例えば、コンドームの配布数は1988年には80万個であったのが、1997年には7百万個に増加している。約9倍に伸びているのだ。

「老人」は上記の9ケ国のみならず、セネガルも何度も訪ねた。また数日前に新聞記事として扱われた京都大学ウイルス研究所の研究者の発見、即ちこのところエイズ起源として有力視されていたチンパンジーではなく、オナガザル科のドリルという猿という説、そしてそのドリルは西アフリカのカメルーン産との事であるが、そのカメルーンにも数ヶ月滞在したことがある。おまけにコンゴでは猿を食った。

あれこれ考えると、本当に危ない橋を渡っていたという思いがする。「老人」のノスタルジアも少しはあるが、振り返って見ると、これは正に実感である。ここではエイズのことを述べたが、その他内戦あり、クーデターあり、盗賊等との遭遇もあった。飛行機事故さえあった。すべての危機を己の直感によって切り抜けた。今にして思えば、あの時の分かれ道を右するか、左するかで現在の「老人」がこのような拙文を書けたか、書けなかったか決まったのだ。結局のところ「老人」には運があったとしか言いようが無い。

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