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#051 04/02/99

ヒトの精子をマウスで育成(動物の経営する精子のトレーニング学校)

昨日(2月3日)付けのある地方紙で表題の記事を発見した。このところ、やれ遺伝子だ、キメラだと、生化学関係の話題について言いたい放題の「老人」としては、これは特に見過ごせない。その地方紙の記事を、先ずは引用しよう。

「無精子症の男性の精嚢から取り出した精子になる数段階前の"精祖細胞"をラットとマウスの精巣に移植して、外見上は正常な精子に育てることに世界で初めて成功した、と鳥取大学医学部(鳥取県米子市)の研究グループが2月1日に発表した。

「このグループは、不妊治療に新しい道を開く実験としているが、臨床応用には、人体への影響など未解明の点が多い。同グループは"人体を傷つける実験ではない"との理由で、同大学付属病院の倫理委員会には諮っておらず、今後、倫理面で論議を呼びそうだ。

「同グループによると、実験は一昨年末から一年間にわたり、無精子症の外来患者18名の同意を得て、精嚢のごく一部(およそ一ミリグラム)を採取、これを酵素でばらばらにしたそれぞれの精祖細胞を18匹のラットやマウスの精巣に移植した。

「拒絶反応を抑えるために、ラットやマウスの目の細胞を精巣に加えるなどの工夫をした。その結果、18匹中のラット3匹、マウス2匹で、移植5ケ月後に運動量、形とも正常な精子に育ったことを確認した。

「顕微鏡で見ると、長さ約400マイクロメートルのラットの精子と、約60マイクロメートルの人間の精子が明確に判別できたという。

「老人」としては、自身の持つ倫理観からくる意見はあるが、それは横に置いて、先ずはジェレミー・リフキン氏の意見を求めたい感がある。

「代理出産」という言葉は耳にしたことがある。これは、「老人」の想像では、試験管の中で精子と卵子を合体させ、それを卵子の主ではない子宮(主の場合もあろうがその場合ば代理ではない)に移植して胎児を育成するというものと考える。言うならば「レンタル子宮」である。

これに対して、この鳥取大学の実験は、「老人」に言わせれば「レンタルの精子のトレーニング学校」である。

精子に不具合があるにしても、成人男性として自分自身の子孫を求める気持ちは分からなくはない。そして、その唯一の可能性が「レンタルの学校」あるいは「レンタル保育園」だとして、しかもその学校乃至は保育園が、生きたラットやマウスによって経営されているのだとしたら、ためらう男性は多いのではないだろうか?

「老人」の個人的考えでは、この場合はためらうのではなく、断固として反対である。つまり、自分なら「マウスが経営する精子の保育園」は、絶対に使用したくない。勿論「老人」には、他人様が「ラットのレンタル保育園」を使用するのを止める権利はない。あくまで当事者が自分自身で決定するべき事柄である。

でも、でもである。人類全体として考えると、子孫を残すのは大切な行為である。ただし、個々の個人については、それほど大切とも考えない。つまり、俺に子供がいなくても、他の人々に子供がいるよ、というわけである。人類はそれで安泰なのだ。「ネズミの保育園」まで動員して、愚かな(これは「老人」の場合。誤解なきよう)おのれの複製的子孫を残す努力を、「動物の経営するレンタル保育園」の助けを借りてまで行うのは、いささか行き過ぎに思えるが、いかがなものであろうか?

「老人」には、不妊で実際に悩む人々を愚弄する気持ちは全くない。冷静に自分ならどうするであろうかと考えて,自分の考えを正直に言っているだけである。

変わり者を自認する「老人」としては、自分に関する限り、葬式も要らぬし、墓もいらぬ、と正直に思う。だだ、残った家族と親しい友人の記憶の中に少しだけ残ってくれれば有難い、と考える。「老兵は消えて行くのみ」、と言ったのは確か元アメリカ占領軍総司令官ダグラス・マッカーサー将軍であったろう?何やら同じ心境のようである。

自分が死んだ瞬間に、「うるさい偏屈じじいがやっと消えてくれたか、有難や!」、と家族に喜ばれるのは少し悲しいが・・・・・・

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