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#050 03/02/99

エイズ・ウイルスの元凶はチンパンジーか?

本日(2月3日)付けのデイリー・読売に、目下のところ不治の病として最も恐れられている病気の一つであるエイズについて興味ある記事を発見した。同記事をまずは引用する。

「マリリンという名前のチンパンジーが、エイズ・ウイルスが初めてヒトに伝染した経路の発見に役に立った、と研究者が1月31日に発表したとワシントン発のルーター電が伝えている。

「かれらの発表によれば、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)がチンパンジーに伝染はするが発病はさせないような、ある種のウイルスに近い事実が遺伝子テストの結果判明したとの事である。現在でもしばしばアフリカで起こっているように、チンパンジーを殺して食べることから、このウイルスが人間に伝染したと考えられる。

「アラバマ大学のベアトリス・ハン博士の率いる研究チームが、マリリンという名前の研究用チンパンジーが26才で死亡した際に、その血液と体組織のサンプルを分析して、この発見がなされた由である。

「このチパンジーはエイズ研究の目的で使われた事もないし、1969年以降に作られた血液製剤を使用された事もない、とハン博士は、科学誌ネーチャーに寄稿した論文の中で記している。また、このチパンジーは1985年に双子を死産してから死亡した、との事である。

「HIVのヒトへの伝染経路については、これまで色々の説がある。ある研究グループの説では、男性のホモセクシアルが意図的に感染させられた、とするが、大多数の科学者は類人猿あるいは猿からヒトへ伝染したという説を信じている。

「HIVに感染する種はヒト(人間)に限られるが、それ故にこそ、これがヒト免疫不全ウイルスと呼ばれるのである。しかし、類人猿や猿にも、類人猿免疫不全ウイルスがあり、これはSIVと呼ばれる。それにもかかわらず、これまでチンパンジーがSIVに感染した例はわずかに3例しか報告されていない。

「マリリンからこのウイルスが発見された時、研究チームは、そのウイルスとその他のSIVウイルスとを比較した。そして幾つかのHIVの変種とも比較してみた。一つのケースでは、遺伝的にみてあまりHIVに近くなかったが、その起源がチンパンジーの亜種であるパン・トログロダイト・シュワンフルテイであることが分かった。

「これら3種のSIVの変種はいずれも、マリリンを含む、西アフリカ産のチンパンジー、学名パン・トログロダイト・トログロダイト、から採取されたものであり、HIV(即ちヒト免疫不全ウイルス)の三つのサブ・グループと酷似している。

「この発見は、今後の研究にとって、極めて意義のある発見です」と米国国立アレルギー及び伝染病研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ博士は言う。因みに、この研究に対して資金提供しているのはNIAIDである。

同博士は更に言う、「このウイルスは、98%までヒトに近いとされる霊長類に伝染します。この発見は、もしも、この絶滅に瀕している霊長類を守る目的で、霊長類学者の協力を得て、慎重に行なわれるなら、今後感染した野生のチンパンジーを研究して、チンパンジーがなぜ発病しないのかその理由を突き止め、それに依って得られる情報は、人間のAIDS発病を防ぐ手立てを発見できるかも知れない」。

「多くのウイルスは動物によって媒介される。例えばインフルエンザはあひるとブタが媒介する。そして、ウイルスはその宿主である動物を発病させないことが多い。例えば人間などの他の種に感染し、発病させるには、遺伝子が変異しなければならない。ハン博士のチームは、その遺伝子変異がチンパンジーのSIV、特にSIVcpzと呼ばれるウイルスに発生する証拠を掴んだのである。

「ハン博士の言によれば、彼女のチームの発見は、ただこれだけではなく、チンパンジーSIVが遺伝子を頻繁に交換している証拠を握ったという。そのような遺伝子交換は、ウイルスに共通点があってはじめて可能な事である。

「檻に入れられたチンパンジーのSIVcpz感染率が低いという観察された事実の説明は、おそらくこれらのチンパンジーは人間の管理下で生まれたか、野生の成獣としてSIVcpzに感染するチャンスが発生する以前に捕獲されたかであろう、と報告書の中で言われている

「同チームが言うには、昨年のことであるが、彼らは、旧ベルギー領コンゴ、現コンゴ民主共和国で1959年に死亡したバンツー族の男性のAIDS感染のケースを発見した。それこそこのチンパンジーの亜種が生息する地域なのである。

「多くの研究者はウイルスが人間に伝播するのは、感染した類人猿と猿を食べることに拠ると考えている、アフリカの幾つかの地域では、今でもしばしばチンパンジーを捕獲する習慣があるが、解体の際に飛び散る血液からウイルスが容易に伝染する。

「ヒトに感染する変性した第二のHIVがあるが、これは正式にはHIV-2と呼ばれている。これの発生源はスーテイー・マンガベイと呼ばれる猿であると考えられている。

以上が新聞記事である。これを読んで「老人」はぞっとした。と言うのは、実は「老人」はまだ若い30才代のころに止む無く猿を何度か食った経験がある。何も好んで猿を食ったわけではない。アフリカの奥地に仕事で出かけ、猿の他に何も食うものがない状況に何度か直面した。生存のためには蛋白質は必要である。だから仕方なく食った。それも、この記事にあるコンゴにおいてである。

勿論その当時、「老人」はエイズのこともエボラ出血熱の知識もなかった。が、ともかく「老人」は60才半ばの現在まで無事生き長らえている。振り返ると奇跡に近い感がある。よくも無事で、と思う。きっと多くの守護神が、戦後の祖国の経済復興のため身を粉にして、アフリカの奥地で必死に努力する「老人」を守ってくれたのであろう。

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