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#015

「フレンチ・パラドックス」か「プラント・パラドックス」か?

わが日本の同胞よ、フレンチ・パラドックスという言葉をお聞きになった事がおありかな? 「老人」の自宅に近い酒屋の御亭主によると、最近赤葡萄酒の販売がうなぎ昇りとの事。という事は、単なる一過性のファッションではなく、おそらくや相当多くの消費者は、何らかの形でこの「フランスの矛盾」を御承知なのかな、と思ってしまう。

しかし、一方では、およそ10年ほど前に、この国でボジョレー・ヌボーが大流行した事がある。当時、在仏の友人がぼやくには、何でも時間の関係から、日本は世界中で一番早く朝がくる(これは単なる約束事である)。従って、毎年秋にでる新酒を、フランスから日本へ飛行機で運べば、物理的には成田空港で、世界で一番早くボジョレー・ヌボーが味わえるというのである。これは勿論輸入代理店の販売戦略に踊らされた結果に過ぎまい。このビジネス戦略は、当然ながら、フランス人には不評を買って、間もなくストップしたと聞く。

この辺りの過去を考えると、どうも本当の意味でフレンチ・パラドックスを御承知の御仁は少ないのでないか、という気もする。そこで、本日は、例によってクレイトン博士の知識を、老人が勝手に受け売りして、医学的根拠に基づく解説をしてみる事にする。

先ず、脂肪酸、とりわけ飽和脂肪酸(簡単に言えば動物性脂肪)の多い食事と心臓病との因果関係は定説である(ヴィツァム1994年)。そしてWHO等の調査でも明らかになっているのは、平均的フランス人の飽和脂肪酸の摂取量の高さである。加えて彼らは現代のアメリカ人と異なり、喫煙者の数はまだ多い(喫煙と心臓疾患の関係は特に説明は不要であろう)。従って、フランスでは心臓疾患が多いだろうと推定するのは、極めて論理的である。医師ならずとも常識として当然である。

では、事実の方はどうであろうか?いわゆる西欧諸国で心臓疾患による死亡率の高い国は(1)フィンランド、(2)スコットランド、(3)アメリカ、(4)オーストラリア、(5)ニュージーランド、(6)カナダ、(7)イギリス、(8)アイルランド、(9)ノールウエー、(10)オランダ、となっており、フランスはワーストテンにも入らず、ようやく18番目の登場である。これは「老人」の勝手な推定では、おそらく日本より少々多いといった所ではあるまいか?

そこで、その理由であるが何故だろう?答えは単純明快であり、赤ワインに含まれる「フラボノイド」という抗酸化物質のためである。このフラボノイドは何も葡萄にだけ含まれている訳ではない。松の樹皮から抽出したピクノジェノールもフラボノイドの一種であり、最近では健康食品として人気が高まっている。

そもそもこのフラボノイドは、一時はビタミンPと呼ばれる時代もあった。これは1936年にハンガリーの生化学者ゼント・ギオルギによって発見された。ビタミンPの「P」はパプリカの頭文字のPからとったという説もある。いっぽうでは、浸透性を意味する英語の(Permeability)からとったという説もある。

それはともかく、「ファイトケミカル(植物由来化合物)」の仲間の一つである。その「一つ」の仲間の中で、現代の最も進んだ分析技術によって同定されたフラボノイドの数は2万を超える由。

「老人」は独断と偏見が大好きである。よって簡単に断定するなら、「毒でさえなく、食べられる植物には殆どすべてフラボノイドが含まれている」と言えそうである。一般的には、フラボノイドは植物の皮、芯、種子などに多く含まれる。そして、加工食品産業ではおそらく、こういった部分は使われずに捨てられているのではあるまいか?

何故種子や皮に集中するか?植物は光合成を行って生きている。光合成には太陽光線は不可欠。一方、太陽光線に当たると活性酸素が発生して生体に害をなす。何とかして身を守る必要がある。光は必要であるが、不必要でもある。これは植物のパラドックスである。そこで植物が長い進化の過程で編み出したのがフラボノイドである、と「老人」は勝手に考えている。「フレンチ・パラドックス」が「プラント・パラドックス」にいつの間にか変わってしまった!

訳がわからなくなってしまった。どなたか「老人」を助けて下さらぬか、同胞諸兄よ!

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