日本語     English

#010

四千年前のロンドンにおけるホモサピエンスの生活

またしても"The Times"からの引用である。「老人」としては、いささか恥ずかしい思いである。借り物ばかりではないかという叱責が聞こえて耳が痛い。が、と開き直るなら、面白いネタがある間は、どこからネタを仕入れるかは「老人」の自由な筈。従って、ニュース・ソースを明かすだけでも「老人」の良心と思って頂きたい。ともかく、"The Times"本年7月23日の"Home News"の欄に面白い記事を発見したので、それを紹介したい。

"イギリスのチャールス一世の死刑執行人を勤めたリチャード・ブランドンという人物の頭蓋骨がコンピューターによって、そのイメージが復元された。ハリウッドのホラー映画から想像されるイメージとは程遠く、コンピューターにはむしろ優しげな顔つきが浮かび上がってきた。

"ロンドン博物館館長のアレックス・ワーナー氏によれば、「全く不愉快な顔ではない」"との事である。リチャード・ブランドンなる人物の家系は代々死刑執行人であった由。全くご苦労な事である。「老人」としては同情を禁じ得ない。しかし、この人物は幼い頃から猫や犬の頭をちょん切る事で断頭の訓練は自ら行っていたとの記録あり。従って、あまり同情ばかりしている訳にはいかない。

"今年の秋に予定されている大がかりな展示会では、このブランドン氏がスターの役目を担う由。博物館の6,500余のロンドン近郊から発掘された人体のコレクシヨンが展示されることになっている。その殆どは靴箱より少しばかり大きな箱に収まっている。気の弱い御仁にはお勧め出来ない由。このコレクシヨンには、ロンドン塔付近から発掘された672体の14世紀の黒死病(ペスト)による遺体も含まれているとの事。サリー・カウンテイのシェパートンなる場所から発掘された新石器時代の女性は、ケート・モスやナオミ・キャンベルのような近代的な体型であった," とのこと。「老人」としてはモデルの体型には興味なし。世界的に有名なモデルと家人から教えられた。

"博物館長のサイモン・サーレイ氏曰く、10月27日に開催する'ロンドンの遺体'は、当時のロンドン住人が食べていた物、その生活様式、その病気、に加えて、外見についても気遣いしていた事などをお見せします,"と。"彼らは背が高かったのか、あるいは小さかったのか?肥っていたのか痩せていたのか?歯が駄目だったか?色が黒かったか白かったか?食事が変化するにつれて、その見かけが変化したか否か?"

"例えば、ペストの犠牲者の骨は1315年から17年に起こった大飢饉の痕跡をのこしています。 ロンドンの東にあるローマ時代の墳墓から発掘された679の遺体から見れば、彼らの身長は現代のロンドン子と変わらず、また、食事も決して貧しくはなかった由。"

サーレイ博士によれば、"アングロサクソンの骨格の、足に合わない履き物と横に広がり、すり減ったつま先が、反復してしゃがんだり、重い荷物を担いだことによる関節炎の悪化を示す"由。

"ノルマン系のロンドン住民がしゃがんだスタイルで長時間過ごした事を物語り、またこのしゃがんだ格好はテーブルや椅子が無かったことを示唆している。" 彼らの活動の大部分はしゃがんだ格好で行われていた。"と同博士は言う。 "最も初期の骨格が示す所では、有史以前の人々の生活は獣のような不潔で寿命も短かった、" らしい。しかしながら、ロンドンで発見された遺体には、装飾品とか毛つくろいの証拠も見られ、当時の人々がすでに外見を気にしていた事実をも示している。サーレイ博士によれば、当時の人々は、"不潔で悪臭を放ち、髪の毛ももじゃもじゃでありながら、きちんと櫛を入れていた様子。入浴をしていたかどうかは不明。しかし、われわれが考える以上に外見に気を使っていたことは確か、"な由。この展示会は当時の人々の生活の様子を垣間見せてはくれるが、だからと言って、その全てを見せてくれるものではない。"やはり、ただの骨ですよ、"とサーレイ博士は言う。

"復元された死刑執行人のブランドンの顔はそれなりに重要である。なにしろ、その肖像画さえ残っていないのだ。彼に首を切られたチャールス1世でさえも、その死刑執行人の顔は見ていない筈とのこと。ワーナー博士によれば、"ブランドンの顔を見れるのは、これが初めて、"との事。ブランドンの頭骸骨は1870年代に、セントメアリ・ホワイトチャペルが建立された際に、その土台を建立する折りに偶然発見された由。"

"ブランドンの他にも、ローマ時代から18世紀まで、全部で5体の顔が復元されるが、その中の一体は10才代の女性で、1040年代のものであり、その歯と骨格はほぼ完璧に残されている。その反対に18世紀に、くる病で死亡した幼児の遺体はすさましく変形を見せている。

くる病はビタミンDの不足により起こるが、食事内容もさることながら、当時のせまい通りが日光を遮っていたことが容易に想像される。"

"18世紀の梅毒に掛かった女性の頭蓋骨も発見されているが、眼窩の後部には著しい崩壊が見られる由。この女性はおそらく売春婦と見られ、顔面にただれが観察される。セントジョンズ・クラークウエルから発掘された出産中の妊婦と胎児の遺体は悲惨である。胎児の頭が現れつつあるが出産には至らず、母子ともに死亡している。ローマ時代の革ひものビキニも見られる。今日見られるものと同様で、きつそうで、おそらくアクロバットをする女性が着用したものと思われる、"とのこと。今秋にロンドン博物館を訪ねてみてはいかが?

前のページへ     次のページへ

〒435-0026      静岡県浜松市南区金折町733-2    TEL: 053-443-8450    FAX: 053-443-8491

© 2015 Uni-Vite JAPAN LTD, All rights reserved.