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予防としての抗酸化物質の摂取量

 一般的な予防としての抗酸化物質の必要摂取量を下記します。特定の病気の治療を目的とするものではないことをあらかじめお断りしておきます。

 

1、ベータカロチン 1日当たり15から25ミリグラムの摂取で健康優良グループのトップ数パーセントの仲間入りが可能でしょう。結腸癌、冠状動脈疾患、白内障などのリスクを低下させます。もっと大量摂取でも安全と思われます。その根拠は、皮膚病の500名の患者に対して1日に180から300ミリグラムを10年間連続投与した例でさえも副作用は出ていないからです。

 

2、ビタミンC 朝夕2回0.5グラム、つまり1日当たり合計1グラムで充分でしょう。自分自身でCを作れない人間以外の数少ない動物の1つであるモルモットの場合で、壊血病を防ぐレベルの量(最低必要量)の20から40倍量の投与で肝臓の酸化ダメージ防止が確認されています。人間に換算すれば、1日当たり600から1200ミリグラムに相当します。これでちょうど1日に排泄するすべての尿サンプルに極少量のビタミンCが流失することになり、1日24時間を通して一瞬の隙もなくビタミンCによる防御が行われていることを示すことになります。もっと大量摂取でも安全と思われます。1日10グラムの摂取でさえも尿中のシュウ酸塩の増加が見られません。従って腎臓結石のリスクもないと言えるわけです。ノーベル賞を2回受賞した米国のライナス・ポーリング博士は、1日に数10グラム摂取していました。数年前に93才で亡くなっています。

 

3、ビタミンE   アメリカその他の臨床例から、冠状動脈疾患の予防目的で1日当たり400から800ユニット(IU)が最大摂取量であることを示しています。もちろん、合成のものではなく、天然由来のビタミンEであるべきです。天然由来のビタミンEは異変体Dアルファが1つしかないのに対して、合成のEはそれが8つもあります。このことは重要です。何故なら、Dアルファは血管内壁の平滑筋細胞の急増を抑制するのに対して、合成のビタミンEはその機能がなく、従って心臓毒性があると考えられるからです。合成のビタミンEの大量摂取はおそらく意味がないと思われるのみならず、他の抗酸化物質との併用がない単独使用の場合は、むしろ有害と考えられます。また、化学合成のEはベータカロチンの吸収を阻害します。

 

 抗酸化物質はいずれも「他の抗酸化物質と連携して病気を予防」します。連携プレーが大切なのです。単独摂取は好ましくありません。食品はすべてそれぞれ各種の抗酸化物質を含んでいます。栄養補助食品産業がスタートする前は、人は必要なすべての抗酸化物質を自然から得た食物に依存していたのは当然です。いま、われわれはベータカロチン摂取に少し過熱気味のようですが、果物と野菜には600を超える種類のカロチノイドが含まれているのです。確かにベータカロチンはわれわれの身辺で最もありふれたカロチノイドではありますが、人間の身体自身がカロチノイドの仲間のルテイン(緑葉野菜、特にケールに多い)、リコペン(トマトに多い)、クリプトキサンチン(オレンジに多い)を持っているのです。

 この連携プレーという基本ルールにも例外がただ1つだけあります。その唯一の例外というのはビタミンQ(補酵素Q10)で、これだけは単独プレーも連携プレーもOKなもので、細胞のミトコンドリアをバックアップする機能をもっています。

 単独での抗酸化物質の効果について多くの研究がなされていますが、残念ながらいずれも製薬的観点からのアプローチの遺物としか言えません。研究の見出しこそ派手ですが、単独の微量栄養素(例えばセレニウム)について「抗ガン性」などをうたうのには無理があると思います。重要なのはやはり全体としての栄養の働きです。確かに単独使用の坑酸化物質の例として、例えば、セレニウム不足は確かに、中国での関節炎と心筋の病気に、フィンランドでの冠状動脈疾患に、ニュージーランドにおける乳癌、ザイールの甲状腺腫等に関係しています。それぞれの国には、その国に特有の国民栄養上のいくつかの特定の傾向が見られます。そして、上記の各国の例は、それら疾患の共通項としてセレニウム不足が浮き彫りになったわけで、その他にも、各地それぞれの特有の問題があるのは当然です。このような特殊なケースで問題の栄養素を単独補給するのは当たり前のことです、この場合にも、もちろん、他の栄養素が充分満足できる状態にあることを前提とすることは言うまでもありません。

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