Home/目次/next page

プロゲステロンは骨を丈夫にする

 驚くべきことは、プロゲストロンは似たような細胞ではあるが、その働きは全く異なるということです。骨形成を行う骨芽細胞と関連して、骨芽細胞を活性化するという研究もあります。その場合のプロゲステロンの働き方は成長ホルモンの働きとよく似ているとのことです。でも、プロゲステロンは骨を丈夫にするのに役に立っているのでしょうか?答えは疑問の余地のない「イエス」です。アメリカのジョン・リー博士 (Dr.John Lee) はプロゲステロン(ただし、人工的でない天然のもの)を用いて何千人もの女性の治療を行い、驚くべき高い成功例をあげています。リー博士によれば、プロゲステロンは骨粗しょう症の進行を止めるだけでなく、 新しい骨の成長を促進するとのことです。骨密度計を用いた計測で30%以上も骨量増加が認められた例もあります。60才から70才の骨粗しょう症患者が、プロゲステロンによる数年間の治療で、35才くらいの骨(この年代は、骨格形成の点では、人生のピークと言えます)に似通った状態になったとのことです。劇的な結果と言えますし、実際に骨折の例も「劇的」な減少を示しました。

 筆者は、この実例を「驚くべき」と表現しましたが、本当はさほど驚くべきことでもないのかも知れません。と言いますのは、閉経後の骨粗しょう症とプロゲストーゲン(ゲスターゲンとも呼ばれる)との関係は、実はもう20年も前に指摘されているのです。犬については、プロゲストーゲンが骨形成を促進するということは長く知られていたのです。じつは、ヒトについても同様だったのです。

 黄体期の長い月経サイクルの女性、つまりプロゲステロンの分泌の多い女性というわけですが、そういう人は骨が丈夫であり、同時にプロゲステロンの分泌の少ない女性に比べて、カルシウム損失が少ないことは良く知られていました。

 閉経後の骨粗しょう症と並んで、急速な骨損失を伴う色々な疾患が、プロゲストーゲン療法によって改善を示すことも分かっていました。 喘息のためステロイド薬物の多服用を要する患者、あるいは上皮小体亢進症の患者に対して、プロゲストーゲンが症状を抑えるか、またはその絶え間ない骨損失を改善するかの効果を示します。プロゲステロンについての最も驚くべき側面は、それが脚光を浴びるに至るまでに要した時間の長さそのものです。 プロゲステロンの分子は男性ホルモンのテストステロンに非常によく似ています。 男性の場合は、テストステロンは骨の健康に不可欠と長く知られていました。骨粗しょう症は、男性についても、テストステロンが不足する場合にはしばしば起こります。テストステロンを投与すれば、予防だけでなく、発生してしまった症状の治療にもなります。

 骨の健康に関する限り、エステロゲンとプロゲステロンの貢献度合いは明らかです。エステロゲンは骨損失を抑え、プロゲステロンは骨の成長を促すわけです。閉経前にプロゲステロンが減れば、カルシウムの損失が始まります。骨格の中に蓄積がもはや効果的にはできなくなるからです。それに加えて、エステロゲンも減れば骨の損失も加速します。骨形成が鈍化し、骨損失が増加すれば結果は分かり切っています。骨粗しょう症への特急列車の座席指定券です。これは閉経後になぜ骨粗しょう症が多くなるかの説明にもなります。

Home/目次/top of page/next page