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食べれば食べるほど栄養失調

 ほとんどの人々にとって栄養失調と言えば、すぐにテレビ映像の第三世界をイメージするとおもわれます。専門家の略語でクワシュ(Kwash)とも呼ばれる「クワシオルコル」(訳注一参照)に苦しむアフリカの人々の姿を思い浮かべることでしょう。しかし現実には、栄養失調は先進国に住むわれわれ自身にも起こっている現象なのです。カロリー不足ではありませんが、微量栄養素の慢性的不足、つまりビタミンやミネラル類の不足、必須脂肪酸の欠乏、あるいは食物繊維の不足などです。これは、短期的には大きな問題にはなりませんが、長期的には、いずれ何らかの病気や短命に至る確実な道です。

 このような場合、たとえば体重が急激に減るとは限りません。むしろオーバーウエイトのケースの方が多いのではないでしょうか。もちろん、一見しただけでは健康に見えます。代謝がどこかでおかしくなり、体内の防御システムが狂い始めます。ある日突然やってくる鋭い胸の痛み、頸部のしみ、関節痛、白内障などなどで、どうもどこかで何かがおかしいぞと感じはじめるまでは特に危険信号もありません。

 このような突然のトラブルは、遺伝要因が関連する場合もあり、環境要素つまりタバコの煙などの汚染による場合もありましょう。しかし、その多くは栄養不良が原因と考えられます。疫学的調査によると、例えば乳ガンの増加の原因は、ビタミンEとセレニウム不足による場合が多いと報告されています。また、ビタミンCとビタミンEを充分に摂っていれば白内障はまず考えられません。心臓疾患は肉と乳製品を多く摂取しながら魚油(多価不飽和脂肪酸)を食べない人、そして抗酸化物質の摂取が不足する人に多いという研究が数多くあります。

 食生活のバランスが良く、要するに何でも食べる人は長生きするという平凡な事実に注意すべきです。イギリスの著名な大学教授が数年前に行った公式の席での演説の中で、「栄養補助のビタミン剤をいくら飲んでも高価な小便になるだけだ」と発言したことがあります。ところが皮肉なことに、その直後に、葉酸を栄養補助食品として投与すると二分脊椎児(spina bifida「訳注二参照」)のリスクを防げるという事実を証明したのは、その教授自身の病院の研究チームであったという事実があります。

 乳幼児は特に注意を要します。ベビーフードを買う場合はラベルに記載されている成分に要注意です。メーカーがビタミンとミネラルについて正しく配慮しているかどうかをチェックしなければなりません。本当は、大人についても同じです。微量栄養素は特に大切です。

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